病理
sessile serrated adenoma/polyp (SSA/P) は消化器病理医でなくても馴染みのある疾患概念となってきました。 SSA/Pに細胞異型があるもの (with cytological dysplasia) を見る機会があり、この辺を簡単に学んでいきたいと思います。 www.ncbi.nlm.nih.gov ・…
Biphasic squamoid alveolar renal cell carcinoma (BSARCC) の報告を見かけたのでチェックしてみました。 ・2019 ・Patholgy International ・Zhou L ら ・上海ジャオトン大学 www.ncbi.nlm.nih.gov ・Papillary RCC の一型として、まれな腫瘍である。 …
こんにちは。 最近、SALL4の抗体が使えるようになったので、病理診断においてどのような使い道があるのか調べてみました。 www.ncbi.nlm.nih.gov ・2014 ・AJSP ・Miettinen ら ・SALL4は " embryonic cell pluripotency " にかかわる転写因子であり、ge…
こんにちは。 前立腺生検の検体作成方法についての文献が出ていました。 www.ncbi.nlm.nih.gov ・2019 ・American journal of clinical pathology ・Murugan P et al. ・ミネソタ大学 生検組織の作成 (processing) に関して、通常の作成方法とBxChip を…
こんにちは。 精巣腫瘍の診断においては、まず組織型ありきなのですが、ステージングのためには脈管侵襲像や精巣鞘膜への露出がないかどうかということも見ておく必要があります。 そのあたりは精巣腫瘍取扱い規約についての記事がありますのでそちらを参照…
こんにちは。 膀胱腫瘍に対するTURBT (transurethral resection of bladder tumor) は泌尿器病理においてはかなりポピュラーな検体です。 泌尿器科医にとっても前立腺生検に次いで身近な病理検体ではないかと。 「TURBTの際に生検 (cold cup biopsy) をして…
こんにちは。 スマホで病理のミクロ像を撮影するために色々と工夫してきたのですが、また少し改良を加えたので報告。 なるべく手軽に病理組織像を撮影するために、接眼レンズから覗き込むように撮影するいわゆるコリメート法を用いてます。 当初はフリーハン…
こんにちは。 専門ではないけれど避けては通れないというのが消化器病理。 自称泌尿器病理といいながら実際には消化器の標本を見ている数のほうがはるかに多いので、かるく勉強してみようと思いamazonで評価の高かった「3週間de消化器病理: 臨床医のための病…
こんにちは。 毛母腫 (pilomatricoma) の組織像です。石灰化上皮腫 (calcifying epithelioma) とも呼ばれます。 たまに見る腫瘍なのですが、組織像が独特なので見たことがあると印象に残りやすいと思います。 弱拡大で濃い紫色にみえるところがbasophilic ce…
こんにちは。 ケラトアカントーマ (keratoacanthoma) の組織像です。 画像のようにドーム状の隆起をしめす病変で、底部が丸く収束しています。これを 「cup-shape」 と表現されます。 真ん中は角栓を容れてやや陥凹が見られます。 角化が目立ちます。細胞…
こんにちは。 大腸癌癌取扱い規約の第9版が2018年7月発売ですのでもう1年近く経過しています。 以前、発売後に変更点をチェックしたのですが、再度備忘録としてメモしておきます。ここに記載する内容は筆者なりの解釈や改変が入っているので実際の規約を基本…
こんにちは。 皮膚や皮下腫瘍としては脂肪腫は一般的なものですが、少し変わった脂肪腫をみました。 脂肪腫の疑いで切除されてきた検体です。 弱拡大では脂肪成分が主体の印象です。やや脂肪以外の成分が目立つ感じがあります。 拡大していくと間質成分が多…
こんにちは。 精巣腫瘍で最も頻度が多いのがセミノーマです。50%程度。 このseminoma と non-seminoma の鑑別は病理診断において重要なのですが、pure seminoma は均一な組織像を示すことが多いので精巣腫瘍の診断ではもっともわかりやすいと思います。 ↓ …
こんにちは。 潰瘍性大腸炎症例で、生検されてきた場合にMatts分類の記載を依頼されることがあります。しかし手持ちの成書には載っていないので調べてみました。 Mattsの生検組織所見スコア Mattsの内視鏡所見スコア 尺度の違いについての注意 基本的にUlcer…
こんにちは。 あまり目にすることは無いと思いますが、renal dysplasia の症例です。 教科書的には ・先天的な renal malformation ・ureteric bud と metanephric blastema の交通不全から生じる ・1000~4000人に1人で比較的 common ・鑑別診断は, autosom…
こんにちは。 胃癌取扱い規約の第15版が2017年10月発売ですので1年以上経過しています。 しかし未だに規約の内容が覚えきれないので、勉強がてら備忘録としてメモしておきます。 筆者なりの解釈や改変が入っているので実際の規約を基本としてください。 胃癌…
こんにちは。 泌尿器病理医が日々思ったことなどを書いています。 先日、他院の標本ですが前立腺生検を拝見しました。 なんと24本生検! 日常的にやっているのか、たまたま多いのかわかりませんが、勘弁して欲しいと感じたのが正直なところです。 昔は6本…
こんにちは。 一般的に副腎皮質腺腫の中でアルドステロン産生腫瘍はサイズが小さいことが多いです。アルドステロン産生腺腫 (aldosteron producing adenoma: APA)により原発性アルドステロン症を生じるのですが、時にスピロノラクトン体が目立つ症例がありま…
こんにちは 前立腺癌では導管内に癌が進展・増殖する場合があり、intraductal carcinoma of the prostate: IDC-P と呼ばれます。 2016年のWHOブルーブックでは「intraductal carcinoma」として記載されています。 WHO Classification of Tumours of the Urin…
こんにちは。 泌尿器科領域における神経内分泌腫瘍 (neuroendocrine tumor: NET) はかなり稀です。 膀胱・前立腺の小細胞癌や膀胱のcarcinoidを経験したことはありますが、肺・消化器領域とくらべると頻度が少ないため、今回は専門外ではありますが、勉強し…
こんにちは。 今回は、シェーグレン症候群(Sjögren's syndrome: SS or SjS) の組織学的診断についてです。 よく用いられる基準にGreenspan gradeがありますので、このGradeを備忘録として記載しておきます。。 臨床的にSSが疑われ口唇の生検組織(おおよそ2…
こんにちは。 日本人では頻度は少ないですが、たまに症例があるのでTNM分類をメモしておきます。 症例が少ないためか癌取扱い規約はありません。2016年のWHO classification に準じておきます。同書ではAJCC 7th edition (2010)を基にしています。 T分類 Tis…
こんにちは。 以前、精巣垂と精巣上体垂の違いを記事にしました。今回は、精巣垂捻転の組織を載せておきます。 www.pathonosuke.net 精巣垂は乳頭状の組織で精巣上体垂は嚢胞状の組織でした。 ↓こちらは精巣垂とわかります。 弱拡大の精巣垂組織です。間質浮…
こんにちは。 今回は、歯根嚢胞 (radicular cyst) の組織像を示します。 重層扁平上皮に裏打ちされる嚢胞壁組織です。上皮下にはリンパ球・形質細胞主体の炎症細胞浸潤を認めます。 嚢胞腔側(左)の裏装上皮層。 2層目の肉芽組織層。 3層目の線維性結合組織…
こんにちは。 Capillary hemangioma (pyogenic granuloma, telangiectatic granuloma) の組織像です。ISSVA分類では vascular malfomation, capillary malformation に相当します。 皮膚真皮内に毛細血管増生からなる肉芽組織を認めます。表皮はやや菲薄で過…
こんにちは。 泌尿器病理の中でも膀胱癌に対するTURBTというのは変性が強い組織の一つです。 生検であればそれほど組織像の変化はないのですが、熱がかかる・分断される・挫滅が加わるなどの変化が大きい「ループ電極での切除」は病理医泣かせといえます。変…
こんにちは。 血管腫 (hemangioma)は、皮膚などにできる良性の病変ですが、最近は血管奇形 (vascular malformation) と書いた方がいいのかなと思ったので記事にしました。 頭皮の病変の組織像です。弱拡大では真皮内から脂肪組織にかけて楔状に血管腔の集簇…
こんにちは。 自称泌尿器病理医が日常出会った症例や調べたことなどを書いています。 後腹膜脂肪肉腫の症例を経験 論文ひとつ目 論文ふたつ目 2本の論文から考える 自験例を考える 直近の論文 後腹膜脂肪肉腫の症例を経験 後腹膜脂肪肉腫の症例を診断する機…
こんにちは。 今回は胃生検でみられた低分化腺癌の組織像です。 分化型にくらべると内視鏡的にわかりにくのでしょうか、悪性疑いでない場合に時に出会うことがあり、このような場合には見落しに気をつけないと怖いです。 粘膜固有層内の間質に索状もしくは孤…
こんにちは。 Clear cell renal cell carcinoma の腎静脈内進展。いわゆるtumor thrombus の組織像です。 上方に動脈があり随伴する静脈内にRCCの静脈浸潤像が見られます。 写真の左に腎実質がみえるので、ちょうど脈管が腎実質に入るレベルの腎静脈分枝です…