こんにちは。
専門ではないけれど避けては通れないというのが消化器病理。
自称泌尿器病理といいながら実際には消化器の標本を見ている数のほうがはるかに多いので、かるく勉強してみようと思いamazonで評価の高かった「3週間de消化器病理: 臨床医のための病理のイロハ」を買ってみました。
だいたい専門書というのはほとんど英語だし分厚いしで通読するには不向きなのですが、本書は大きさ・分量が抑えられていて良い感じ。
iPadよりも小さく
厚みもiPadと同じくらい。で重さも軽い。
かばんに入れて持ち運ぶことができるというのは、すきま時間を利用して勉強するにはありがたいです。
病理の教科書というとミクロの画像が載っていたり、臓器の写真がのっていて電車のなかで広げるのは抵抗があったりするのですが、この本は写真はなくて、わかりやすいイラストで説明されているので人目を気にせず読むことができます。
こんな感じです。
上は鋸歯状腺管の模式図の部分ですが、SSA/Pなどの新しい概念についても特徴を踏まえて解説されていて病理医が読んでも勉強になります。遺伝子異常についても触れてあり、細かすぎず適度に読みやすい情報量になっていて通読向けに良い感じです。
個人的には会話形式の本はなじみが薄くてあまり読まないのですが、こうすることで難解な言い回しや表現が抑えられていると思います。
ですので臨床医ターゲットの教科書ではあるものの、専門外の病理医から研修医・学生にいたるまで幅広い層におすすめできる内容にはなってるんじゃないかと。
以前備忘録のために記事にしたMattsの生検組織分類も載ってました。
読み手によって役立つポイントが異なりそうではありますが、病理医としては消化器病理のお手本ともいうべき病理診断報告書を見ることができるというのがポイント高いです。
ここまで丁寧に胃生検組織の診断することはなかったですが、明日からの診断のお手本にしてみますw。
生検だけでなくESDの病理診断報告書や、このほか多数の診断が載っていますので、どこに出しても恥ずかしくない報告書のフォーマットが参照できるという意味でも役に立つと思いますし、今までの成書ではなかったポイントですね。
あと個人的には普段「です」・「ます」の文体ではなくて、「である」「認める」のような文体で診断書を書いているので真似しやすくていいかんじです。
内容的には190ページの中に日常診療で重要なテーマが厳選されています。
3週間de消化器病理のタイトルのとおり、21のテーマにわかれています(1日1テーマ)。もちろんすべての消化器病理を網羅しているわけではありませんが、 すきま時間で読めて短時間で知識を得るためには効率的に編纂されていると感じました。
最近part2も出版されたようです
構成はpart1と同様で、消化管と肝胆膵が半分ずつになっているようですので、読み終えたらチャレンジしてみようと思います。