uropatho’s diary

泌尿器病理医によるブログ

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2018-08-01から1ヶ月間の記事一覧

【胃生検】低分化腺癌 (Group5)

こんにちは。 今回は胃生検でみられた低分化腺癌の組織像です。 分化型にくらべると内視鏡的にわかりにくのでしょうか、悪性疑いでない場合に時に出会うことがあり、このような場合には見落しに気をつけないと怖いです。 粘膜固有層内の間質に索状もしくは孤…

腎静脈内への腫瘍進展をしめす腎細胞癌

こんにちは。 Clear cell renal cell carcinoma の腎静脈内進展。いわゆるtumor thrombus の組織像です。 上方に動脈があり随伴する静脈内にRCCの静脈浸潤像が見られます。 写真の左に腎実質がみえるので、ちょうど脈管が腎実質に入るレベルの腎静脈分枝です…

【組織像】尖圭コンジローマ

こんにちは。 外陰部にできる condyloma acuminatum です。 弱拡大では乳頭状の表皮肥厚が見られます。 拡大すると扁平上皮には表層においてコイロサイトが見られます。 よくみると軽度の核形の不整と核周囲の淡明化 (空胞化)があります。 parakeratosis が…

医師にとっての資産運用を考える。まずは「複利」について。

こんにちは。 自称泌尿器病理医が病理について思うことを書いていまるのですが、たまには医師にとっての資産の殖やし方ということについても記載していきたいと思います。 もちろん金融とか経済・社会情勢に詳しいわけではありません。「餅は餅屋」ですので…

高分化脂肪肉腫・脱分化型脂肪肉腫における免疫染色について

こんにちは。 病理医が目にする頻度はあまり高くありませんが、たまに間葉系悪性腫瘍(肉腫)に出会います。 泌尿器病理をやっていると様々な臓器に発生する悪性リンパ腫が思い浮かぶのですが、いわゆる肉腫というと後腹膜領域に発生する高分化脂肪肉腫 (aty…

病理標本用のマッペを作成。薄くて軽量で郵送も可能。

こんにちは。 病理標本の保管・移送用に用いられているスライドガラス用のトレイをマッペと呼んでいます。 マッペは1枚あたり20枚や30枚のスライド載せることができ、このマッペを重ねることで標本を保管することができます。 病理検査室においているマ…

病理医にとって理解しておきたい「ウィル・ロジャース現象」

こんにちは。 病理医の診断には良悪を決めるところから、悪性度やスコアをつけるところまで様々な(責任の)レベルがあります。 良悪については間違うと責任を問われる可能性があります。しかし、その悪性度(high grade / low grade や Grade 1~3 など)の…

前立腺癌の組織像。Gleason 3+4 と 4+3。

こんにちは。 前立腺癌に特有のGleason score について、実例を載せておきます。 Gleason score はISUPのコンセンサス会議で改正され、少しずつ変化してきました。 再現性を担保する上で重要なことは、 ・弱拡大での観察を重視する ・独立腺管=Gleason patt…

膀胱の上皮内癌 = Carcinoma in situ (CIS) の組織像

こんにちは。 膀胱のCISの像を載せておきます。 粘膜上皮の表層を被蓋するアンブレラ細胞はかなりの部分で残存しています。 このアンブレラの下にCISの増殖が見られます。 核の多型性が目立つ異型尿路上皮細胞で、その核の大きさに注目すると、間質のリンパ…

Inverted papilloma と von Brunn's nest

こんにちは。 Inverted papilloma と von Brunn's nest についてです。 いずれも膀胱の三角部近傍に好発します。良性の病変ですね。 こちらは Inverted papilloma です。表面(画像の左側)に非腫瘍性の尿路上皮が覆っています。 その下方には内反性に増殖す…

急性膀胱炎の組織像

こんにちは。 今回は粘膜上皮内にかなり強い好中球浸潤が見られた症例です。 尿路上皮内に好中球浸潤が目立ちます。これくらいの炎症細胞浸潤があると反応性に上皮異型が見られることがおおいのですが、ほとんど核の腫大はありません。間質のリンパ球と同じ…

大腸癌の組織像。Group5です。

こんにちは。 大腸癌の組織像を載せておきます。病理組織像になじみが浅い臨床医や研修中の先生には参考になるかもしれません。 自分が日々診断していて、Group5をつけた症例から適当に選んで組織像を貼っておきます。 核の腫大や大小不同があります。管腔は…

膀胱固有筋層の組織像

こんにちは。 今回は膀胱固有筋層の組織像を載せておきます。 上はほぼ正常の粘膜上皮です。その下に粘膜固有層があり、下半分が固有筋層の一部です。消化管に見られるようにどの部位でも粘膜筋板があるというわけではありません。 このように筋板がなく固有…

膀胱粘膜の正常組織像

こんにちは。 「Histology for Pathologist」という本があります。病理の道に入ってから今までかなりお世話になっている組織学の本です。 我々は形態をみて正常からの隔たりを診断根拠にしているわけです。正常の組織像とはどんなものかというのはとても大事…

管状腺腫の組織像

こんにちは。 日頃よくみる (というかほぼ毎日のように見る) 大腸の管状腺腫 tubular adenoma の組織像を載せておきます。 縦長の核をもつ腫瘍細胞からなる腺管が集簇する。低異型度の管状腺腫です。 こちらも縦長核のadenoma腺管が集簇します。これはポリペ…

精巣腫瘍取扱い規約 第4版が発売されました(2018/8/22)

こんにちは。 本日8/22に精巣腫瘍取扱い規約の第4版が発売されました。 第3版が2005年でしたので13年ぶりの改訂になります。 内容紹介精巣腫瘍では信頼性の高い基準に基づいて適切かつ迅速な診断と治療を行い、データを蓄積することは重要である。転移を有す…

続・病理画像をスマホで撮影する方法。さらにアダプタを改良しました(2018/8/20)

こんにちは。 「病理画像をスマホで撮影する」というテーマでいくつか記事を書いてきました。 市販のアダプターを使わなくても撮影可能なアダプターはできないだろうか。ということで、安価で手軽に利用できるアダプタを改良してきました。 今回は改良版のア…

膀胱壁内に脂肪組織が見られることは稀ではありません。

こんにちは。 経尿道的膀胱腫瘍切除術(TURBT)では腫瘍の採取と切除を目的とし、内視鏡的に粘膜から浅筋層をループ電極を用いて削るように切除します。 ですので、膀胱の固有筋層をすべて削ってしまうような深い切除をした場合は穿孔を起こすため、尿が膀胱…

診断入力を高速化&省力化する超便利ツール。病理医におすすめの【ぺースター】についての話。

こんにちは。 表題をすこしおおげさに書いてしまいました。 私が病理医として日々の診断入力をする上で、欠くことのできないスーパーアプリケーションソフトがあります。ものすごく便利なため、私が診断するPCにはすべて配置させてもらっています。個人のPC…

スライドガラスに書き込んだマジックを消す方法。無水エタノールが便利すぎる。

こんにちは。 泌尿器病理の病理組織画像を中心に病理医として経験した症例や気づいたことなどの記事やメモを書いています。 さて、病理を普段の仕事としている者にとっては、スライドガラスにマジックで字を書き入れたり、マーキングをしたり、番号を書いた…

新・病理画像をスマホで撮影する方法。アダプタを改良しました。(2018/8/14)

こんにちは。 以前、スマートフォンで病理標本の顕微鏡画像を撮影するという記事を書きました。フリーハンドでも撮影できますが、手振れやピントあわせが難しいので、よりキレイな写真をとるために自作での撮影用アダプター(といってもきわめて簡単なもので…

Jonsen's score について

こんにちは。 TESEやMD-TESEの検体をたまにみることがあります。精子形成の有無や、どの程度の分化段階までのgerm cellが確認できるのかなど評価するわけですが、おそらくはJonsen's score をつけている病理医が多いのではないでしょうか。 覚えきれないので…

精巣垂と精巣上体垂の像

こんにちは。 今回は、私自身が「どっちがどうだっけ?」と混乱してしまいがちなこの二つについて記載しておきます。 それほど目にする頻度は高くないですが、急性陰嚢症をおこすこともあり、精巣固定術の際に採取されることがあります。また精巣腫瘍での除…

「腎癌(腎細胞癌)」のGradingについての備忘録 ー腎癌取扱い規約準拠ー

腎癌(腎細胞癌)の病理組織学的TNM分類について以前記載しましたが、腎癌のグレーディングについてもここに記しておきます。現規約では「従来の日本規約」に加えて「Fuhrman分類」についても記載されています。 なお現行のWHO classification にはWHO/ISUP gr…

大腸癌取扱い規約-第9版 (2018年7月)が発売されました。

こんにちは。 先日、「大腸癌取扱い規約-第9版」が発売されました。 2018年7月版です。 自称泌尿器病理医の私でも胃癌・大腸癌をみないわけではないので、昨年に改訂された胃癌取扱い規約に引き続き、このたびの大腸癌取扱い規約についてもフォローしないと…

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