病理
こんにちは。 病理医が目にする頻度はあまり高くありませんが、たまに間葉系悪性腫瘍(肉腫)に出会います。 泌尿器病理をやっていると様々な臓器に発生する悪性リンパ腫が思い浮かぶのですが、いわゆる肉腫というと後腹膜領域に発生する高分化脂肪肉腫 (aty…
こんにちは。 病理標本の保管・移送用に用いられているスライドガラス用のトレイをマッペと呼んでいます。 マッペは1枚あたり20枚や30枚のスライド載せることができ、このマッペを重ねることで標本を保管することができます。 病理検査室においているマ…
こんにちは。 病理医の診断には良悪を決めるところから、悪性度やスコアをつけるところまで様々な(責任の)レベルがあります。 良悪については間違うと責任を問われる可能性があります。しかし、その悪性度(high grade / low grade や Grade 1~3 など)の…
こんにちは。 前立腺癌に特有のGleason score について、実例を載せておきます。 Gleason score はISUPのコンセンサス会議で改正され、少しずつ変化してきました。 再現性を担保する上で重要なことは、 ・弱拡大での観察を重視する ・独立腺管=Gleason patt…
こんにちは。 膀胱のCISの像を載せておきます。 粘膜上皮の表層を被蓋するアンブレラ細胞はかなりの部分で残存しています。 このアンブレラの下にCISの増殖が見られます。 核の多型性が目立つ異型尿路上皮細胞で、その核の大きさに注目すると、間質のリンパ…
こんにちは。 Inverted papilloma と von Brunn's nest についてです。 いずれも膀胱の三角部近傍に好発します。良性の病変ですね。 こちらは Inverted papilloma です。表面(画像の左側)に非腫瘍性の尿路上皮が覆っています。 その下方には内反性に増殖す…
こんにちは。 今回は粘膜上皮内にかなり強い好中球浸潤が見られた症例です。 尿路上皮内に好中球浸潤が目立ちます。これくらいの炎症細胞浸潤があると反応性に上皮異型が見られることがおおいのですが、ほとんど核の腫大はありません。間質のリンパ球と同じ…
こんにちは。 大腸癌の組織像を載せておきます。病理組織像になじみが浅い臨床医や研修中の先生には参考になるかもしれません。 自分が日々診断していて、Group5をつけた症例から適当に選んで組織像を貼っておきます。 核の腫大や大小不同があります。管腔は…
こんにちは。 今回は膀胱固有筋層の組織像を載せておきます。 上はほぼ正常の粘膜上皮です。その下に粘膜固有層があり、下半分が固有筋層の一部です。消化管に見られるようにどの部位でも粘膜筋板があるというわけではありません。 このように筋板がなく固有…
こんにちは。 「Histology for Pathologist」という本があります。病理の道に入ってから今までかなりお世話になっている組織学の本です。 我々は形態をみて正常からの隔たりを診断根拠にしているわけです。正常の組織像とはどんなものかというのはとても大事…
こんにちは。 日頃よくみる (というかほぼ毎日のように見る) 大腸の管状腺腫 tubular adenoma の組織像を載せておきます。 縦長の核をもつ腫瘍細胞からなる腺管が集簇する。低異型度の管状腺腫です。 こちらも縦長核のadenoma腺管が集簇します。これはポリペ…
こんにちは。 本日8/22に精巣腫瘍取扱い規約の第4版が発売されました。 第3版が2005年でしたので13年ぶりの改訂になります。 内容紹介精巣腫瘍では信頼性の高い基準に基づいて適切かつ迅速な診断と治療を行い、データを蓄積することは重要である。転移を有す…
こんにちは。 「病理画像をスマホで撮影する」というテーマでいくつか記事を書いてきました。 市販のアダプターを使わなくても撮影可能なアダプターはできないだろうか。ということで、安価で手軽に利用できるアダプタを改良してきました。 今回は改良版のア…
こんにちは。 表題をすこしおおげさに書いてしまいました。 私が病理医として日々の診断入力をする上で、欠くことのできないスーパーアプリケーションソフトがあります。ものすごく便利なため、私が診断するPCにはすべて配置させてもらっています。個人のPC…
こんにちは。 泌尿器病理の病理組織画像を中心に病理医として経験した症例や気づいたことなどの記事やメモを書いています。 さて、病理を普段の仕事としている者にとっては、スライドガラスにマジックで字を書き入れたり、マーキングをしたり、番号を書いた…
こんにちは。 以前、スマートフォンで病理標本の顕微鏡画像を撮影するという記事を書きました。フリーハンドでも撮影できますが、手振れやピントあわせが難しいので、よりキレイな写真をとるために自作での撮影用アダプター(といってもきわめて簡単なもので…
こんにちは。 TESEやMD-TESEの検体をたまにみることがあります。精子形成の有無や、どの程度の分化段階までのgerm cellが確認できるのかなど評価するわけですが、おそらくはJonsen's score をつけている病理医が多いのではないでしょうか。 覚えきれないので…
こんにちは。 今回は、私自身が「どっちがどうだっけ?」と混乱してしまいがちなこの二つについて記載しておきます。 それほど目にする頻度は高くないですが、急性陰嚢症をおこすこともあり、精巣固定術の際に採取されることがあります。また精巣腫瘍での除…
腎癌(腎細胞癌)の病理組織学的TNM分類について以前記載しましたが、腎癌のグレーディングについてもここに記しておきます。現規約では「従来の日本規約」に加えて「Fuhrman分類」についても記載されています。 なお現行のWHO classification にはWHO/ISUP gr…
こんにちは。 先日、「大腸癌取扱い規約-第9版」が発売されました。 2018年7月版です。 自称泌尿器病理医の私でも胃癌・大腸癌をみないわけではないので、昨年に改訂された胃癌取扱い規約に引き続き、このたびの大腸癌取扱い規約についてもフォローしないと…
副腎原発の褐色細胞腫の組織像です。 副腎だと褐色細胞腫 pheochromocytomaと呼ばれ、副腎以外に生じるとparagangliomaという名前になる相同の病変です。 副腎髄質細胞に類似した、好塩基性もしくは両染性の細胞質を有した腫瘍細胞がびまん性(索状?)に増…
副腎皮質腺腫と癌の鑑別において用いられるWeiss の criteria について記しておきます。 この指標は9項目からなり、3項目以上を満たせば副腎皮質癌と診断されます。 「Weiss の criteria」 1.高度な核異型2.核分裂像の亢進・・・ 高倍率50視野中5個をこ…
前立腺では癌腺管か非癌腺管かの鑑別は時として難しいものです。数多く診断していても高分子量サイトケラチンの34βE12は常に併用したいと思うところです。 癌と間違えやすい非癌腺管として「萎縮腺管」があります。分泌細胞が消失して基底細胞が腺管を構築し…
ホルモン治療後の前立腺癌に対してはGleason scoreをつけないことになっています。これは治療による癌腺管の形態変化がおこるために正しいグレーディングができなくなるからです。 短期的に抗アンドロゲン製剤を投与された後に全摘された症例です。 この写真…
あたらしい皮膚科学が発売されたというのを聞きつけて第3版を購入しました。 医学書のほとんどは1万円をこえる価格ながら、これは7800円+税なので安いです。 私は第1版を持っていますが、2005年の発売なんですね。第2版が2011年で今回2018年のものが第3版で…
前立腺癌のTNM分類についての備忘録です。2018年2月現在出版されている泌尿器領域の癌取扱い規約においてはこの前立腺癌取扱い規約(第4版)を含めてUICCのTNM分類第7版が採用されています。 T1 実際的にはTUR-P・HoLEP・TUEBの場合にT1a, T1bがつきます。 …
尿路上皮癌(膀胱癌の再発)が前立腺の導管内に進展する像です。 臨床的には膀胱癌に対してBCG膀胱内注入療法後に尿細胞診陽性が続くために精査されました。経尿道的に採取された「①前立腺部尿道」および「②経会陰的に針生検で採取された前立腺組織」です。…
膀胱癌の組織学的TNM分類についての備忘録です。2018年2月現在出版されている泌尿器領域の癌取扱い規約においてはこの腎盂・尿管・膀胱癌取扱い規約を含めてUICCのTNM分類第7版が採用されています。 膀胱癌の診断に際しては多くはTURBTあるいは生検が対象と…
アメーバ赤痢 (amebiasis, amebic colitis) はEntamoeba histolytica の嚢子型(cyst)の経口摂取による原虫感染症です。大腸で栄養型となります。 以下は盲腸炎の疑いで生検されてきた検体です。 大腸粘膜には急性の炎症像がみられ、粘膜表層の壊死をともなう…
腎癌(腎細胞癌)の病理組織学的TNM分類について記しておきます。古い規約と現規約では異なるので自身が覚えきれておらず、備忘録的な記事になります。 多くの切除腎細胞癌症例は腎に限局していますが、腎に限局していればT1かT2になり、腫瘍の最大径によ…