uropatho’s diary

泌尿器病理医によるブログ

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【論文チェック】SSA/P (sessile serrated adenoma/polyp) with cytological dysplasia について勉強

sessile serrated adenoma/polyp (SSA/P) は消化器病理医でなくても馴染みのある疾患概念となってきました。

 

SSA/Pに細胞異型があるもの (with cytological dysplasia) を見る機会があり、この辺を簡単に学んでいきたいと思います。

 

www.ncbi.nlm.nih.gov

 

・2019

・順天堂大学

・Murakami T, Sakamoto N, Nagahara A

 

https://wol-prod-cdn.literatumonline.com/cms/attachment/979126d9-87cb-4c48-8ac0-972728f97597/jgh14752-fig-0001-m.jpg

引用先の文献(free access)から

典型的なSSA/Pの組織像として提示されています。

鋸歯状の構築をしめす陰窩には不規則な拡張・不規則な分枝・水平方向への配列 (base)。

いわゆる逆T字・逆L字と呼ばれる形状は特徴的かと。

 

・SSA/Pは悪性のポテンシャルをもち、serrated neoplasia pathway における早期の前駆病変

・多くはmicrosatellite instability (MSI) の高い大腸癌の発生につながる

・serrated neoplasia pathway は 従来型の adenoma–carcinoma pathway (APC や KRAS の変異)とは異なる経路

SSA/Pの(遺伝子)異常として

・methylation

・loss of protein expression for DNA repair genes such as MLH1

・CpG island methylator phenotype

・BRAF mutations

・lack of genetic alterations in CTNNB1, which is the gene that codes for β‐catenin protein

など

・BRAF‐mutated MSI‐high だけでなく BRAF‐mutated microsatellite stable (MSS) colorectal carcinomas も報告されている

・とくに " BRAF‐mutated MSS colorectal carcinomas " は予後不良

・SSA/Pの中には短期間に浸潤癌になる可能性も示唆されている

・SSA/Pから生じたsm浸潤癌では、リンパ管侵襲やリンパ節転移を生じやすいという報告もある

・頻度は低いものの、SSA/Ps with dysplasia or invasive carcinoma に対するマネジメントは重要

頻度については

・SSA/P with cytological dysplasia は 14%

・SSA/P with invasive carcinoma は 1%

違う報告では

・high-grade dysplasia が 0.2%,  sm 浸潤癌が 0.2%

とされている

・この経路での癌化は大腸癌の30%におよぶという報告あり

・一旦癌化してしまえば、癌の進行とともにSSA/Pの成分は消失する

 

SSA/P with dysplasia or invasive carcinoma に関して

・やや高齢に多い (62 , 65 vs 69才: それぞれwith/without/invasive)

・やや女性に多い (41% vs 59%)

・発生部位は近位の結腸 (proximal colon: proximal to the splenic flexure) が80%以上

という傾向がある。

 

順天堂大学の研究では, SM浸潤癌(with SSA/P vs with tubular adenoma)に関して

・SM浸潤癌 (with SSA/P) では sessile morphology を示すことが多かった

・SM浸潤癌 (with SSA/P) では よりサイズが小さい

・mucinous component が見られることが多い。

・深く浸潤する傾向は少ない

・が、リンパ管侵襲像は多い

・そして、リンパ節転移も多い (28% vs 7%)

とされています。

 

内視鏡像やマネジメントなど、さらに詳しくレビューされているので、原文チェックしてみてください。

 

病理医にとっては内視鏡像になじみがないですが、

内視鏡像と組織像が対比してありましたので原文の画像にリンクしておきます↓

https://wol-prod-cdn.literatumonline.com/cms/attachment/4b3ecb39-fc80-424d-9203-4e485a4a6315/jgh14752-fig-0003-m.jpg

この組織像の右側の部分 (i) が high-grade dysplasia であり、

こういった病変を SSA/P with high-grade cytological dysplasia と呼ぶようです。

 

結論として、interval cancer (中間期がん)を減らすためにはより注意が必要と書かれています。

病理医としてもSSA/Pについて認識して注意深く診断するように心がけたいと思います。

Clear cell papillary renal cell carcinoma と思われる症例

こんにちは。

 

Clear cell papillary renal cell carcinoma (CCPRCC) と思われる症例を1例経験したのですが、未だ診断したことがないので少し勉強してみました。

 

おそらくWHOに登場してから認識されるようになった疾患ではないかと。 

WHO Classification of Tumours of the Urinary System and Male Genital Organs (World Health Organization Classification of Tumours)

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泌尿器病理のバイブルともいうべきWHOブルーブックでは、p40-41に記載されています。

 

日本規約にも少しだけ記載があるのですが、終末腎だけに生じるわけではないということが今ではわかっています。

腎癌取扱い規約 第4版

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今回の症例は、49歳男性で腎部分切除検体です。

境界明瞭な腫瘤で周囲の硝子化が目立ちます。腎に限局。

 

拡大すると、淡明な腫瘍細胞の増殖からなることがわかります。

しかし、血管隔壁に取り囲まれた胞巣状増殖を示す clear cell RCC とは異なる組織像を示します。

 

tubular, cystic, solid, papillary な成分が混在。

 

核は直線的で基底膜から離れて並ぶ " linear arrangement " と呼ばれる配列や、特徴的な分枝をしめす管状構造もみられます。

核は小型で核小体も不明瞭な low grade です。

 

これは、clear cell papillary RCC ではないかと疑い免疫染色を追加したところ、

CK7 が陽性

CD10は、陰性といいたいところですが、部分的に弱陽性でした。

 

CK7が強陽性を示すため、Clear cell RCC でなく CCPRCC だろうと考えましたが、CD10の陽性所見は合致しない。

もちろん免疫染色は常に基本的なパターンをしめすわけではなく補助的に用いるものですので、組織像を優先すべきかと。

 

Patel S, Asarian A, Xiao P. Clear cell papillary renal cell carcinoma: a case report and literature review. J Surg Case Rep. 2019;2019(6):rjz177. Published 2019 Jun 18. doi:10.1093/jscr/rjz177

 

↑ の文献をあたってみると、

" CCPRCC is a low-grade RCC which is strongly positive for cytokeratin 7 (CK7) and mostly negative for CD10 " 

とあるため、CD10陰性症例が多いことにはなっています。 ただし mostly なので例外もあり、といったところ。

 

最終的には、組織像が特徴的・CK7陽性・頻度的に割と多い(腎腫瘍の1-4%で4番目)ということを考えて、Clear cell papillary RCC と診断しました。

 

【論文チェック】Biphasic squamoid alveolar renal cell carcinoma (BSARCC) の報告例

Biphasic squamoid alveolar renal cell carcinoma (BSARCC) の報告を見かけたのでチェックしてみました。

 

・2019

・Patholgy International

・Zhou L ら

・上海ジャオトン大学

www.ncbi.nlm.nih.gov

 

・Papillary RCC の一型として、まれな腫瘍である。

・今まで90例の報告がある

・今回、3例の症例について報告

・いずれも CD57陽性

・免疫染色では、CK, PAX8, CK7, CK19, AMACR, EMA, and vimentin が陽性

・Larger cells では cyclin D1、 CD57 が陽性

 

2012年にPetterson が報告した、biphasic alveolo-squamoid renal carcinoma が最初で、その後、Hes らが21例・Trpkov らが28例を集めて報告、現在では biphasic squamoid alveolar renal cell carcinoma と呼称されています。

 

本文は Pathology international なので、病理学会員であれば病理学会のHPからアクセス可能です(link)がオープンアクセスではないため、ネット上で biphasic squamoid alveolar renal cell carcinoma の組織像を検索してみました。

 

link.springer.com

↑の文献から組織像を見ることができます。

BSARCCでは "large eosinophilic squamoid cells, and smaller amphophilic cells " という特徴的な2つの細胞が見られます。

 

https://media.springernature.com/lw785/springer-static/image/art%3A10.1186%2Fs42047-019-0035-x/MediaObjects/42047_2019_35_Fig7_HTML.png

弱拡大では nest ~ sheet 状に増殖

 

https://media.springernature.com/lw785/springer-static/image/art%3A10.1186%2Fs42047-019-0035-x/MediaObjects/42047_2019_35_Fig8_HTML.png

淡好酸性の胞体の squamoid cell とより小型の腫瘍細胞を認めます

 

thepathologist.com

↑ 文献ではないですが、海外のサイトでも症例提示がありました。

 

https://thepathologist.com/fileadmin/_processed_/1/7/csm_201_1217_Image1_95b9a4bcb0.png

https://thepathologist.com/fileadmin/_processed_/3/e/csm_201_1217_Image2_ce2bfb1b56.png

こちらは squamoid cell をとりまくように small cell が配列しており、BSARCCであると思われます。

 

先の論文では、以下の免疫染色がなされていましたので、このあたりから選択して診断の補助として利用するのが良いと思います。

CK
vimentin
AMACR
pax‐8
cyclin D1
CD57
CD117
CK7
CK19
CD10
CA9
WT‐1
TFE3
Ki‐67

 

かなり稀な腫瘍なので、経験する可能性は低いですが一度は見てみたいと思うところです。 

膀胱癌に対する免疫チェックポイント阻害剤

膀胱癌に対する免疫チェックポイント阻害剤ということで、調べてみました。

 

NCCNのガイドライン上はどのような薬剤が使用されているのか。

https://www.nccn.org/professionals/physician_gls/pdf/bladder.pdf

 

ファーストラインで使用する場合は、シスプラチンが適用できないケースに限り

・アテゾリズマブ

・ペンブロリズマブ

の2剤があり

 

二次治療の場合で、

・ペンブロリズマブ (=キイトルーダ)

・アテゾリズマブ (=テセントリク)

・ニボルマブ  (=オプジーボ)

・デュルバルマブ(=イミフィンジ)

・アベルマブ (=バベンチオ)

(・エルダフィチニブ =FGFR阻害)

などがガイドライン上の免疫チェックポイント阻害剤になります。

 

シスプラチンやカルボプラチンなどのプラチナ製剤の次に使用するという位置づけ。

 

続いて、日本でこれらの薬剤が使用できるのか?ということですが

 

・キイトルーダは「がん化学療法後に増悪した根治切除不能な尿路上皮癌」ということで保険適用

・テセントリクは 「切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌」「進展型小細胞肺癌」に適応があるものの、膀胱癌は適用外

・オプジーボは「根治切除不能又は転移性の腎細胞癌」には適用がありますが、膀胱癌には適用なし

・イミフィンジは「切除不能な局所進行の非小細胞肺癌における根治的化学放射線療法後の維持療法」で適用外

・バベンチオは 「根治切除不能なメルケル細胞癌」・・・適用なし

 

日本で膀胱癌に対する免疫チェックポイント阻害剤となると、ペンブロリズマブ(キイトルーダ)が唯一の薬剤ということになります。

 

ペンブロリズマブのエビデンスについては以下の文献を参照してください。

 

www.ncbi.nlm.nih.gov

 

www.ncbi.nlm.nih.gov

 

 

【論文チェック】前立腺 IDC-P による予後への影響

前立腺の IDC-P に関して日本からの報告があったのでチェックしました。

 

intraductal carcinoma of the prostate (IDC-P) は予後不良因子だということは知られています。

 

 

・2019

・The prostate

・名古屋のGroup(Tsuzuki T ら)

 

前立腺全摘後の生化学的再発に関して、Grade group とともに IDC-P の有無による影響を調べたという趣旨。

 

・1019名の前立腺全摘症例を検討

・年齢, PSA, T stage, Gleason pattern 5, IDC-P, 切除断端 について分析して, PSA再発との関連を検討。期間は 82ヶ月 (range, 0.7-148) 

・年齢とPSAはそれぞれ、67 (range, 45-80), 6.8 (range, 0.4-82) , 

・IDC-Pは157 patients (15.4%)に認められた。

・Grade group ごとに分けると、GG 2 (n = 29); GG3 (n = 60); GG4 (n = 13); GG5 (n = 55)

・IDC-Pを有する Grade group では、IDC-PのみられないいずれのGroupと比較しても予後が不良であった。(P < 0.0001)

・多変量解析では、integration of the IDC-P into the Grade Groups (Grade Group とIDC-Pを統合したもの) ・PSA値・切除断端の有無が独立した予後因子であった(P < 0.0001)

 

感想

Grade group はGleason grade をもとに階層化したものなので、統計的な処理の部分で切り口を工夫した報告といえます。IDC-P自体が独立した予後不良因子であるというのは確かなようですので、認められたら報告書に記載するようにしようと思います。

 

【論文チェック】SALL4 の免疫染色は " germ cell tumor " に有用

こんにちは。

 

最近、SALL4の抗体が使えるようになったので、病理診断においてどのような使い道があるのか調べてみました。

 

www.ncbi.nlm.nih.gov

 

・2014

・AJSP

・Miettinen ら

 

・SALL4は " embryonic cell pluripotency " にかかわる転写因子であり、germ cell tumor に対する免疫マーカーとして有用だとされている。

 

・3215の腫瘍をヒト正常組織とともに調べた

・6E3 モノクローナル抗体を使用

・10th week embryo (胚) では,  ovocytes, intestine, kidney, and some hepatocytes に発現

・成人の組織では、germ cell のみに発現が見られた。

 

・SALL4 was consistently expressed in all germ cell tumors except some
trophoblastic tumors and mature components of teratomas, where it was selectively expressed in intestinal-like and some squamous epithelia.

ほぼすべての Germ cell tumor で発現(例外は trophoblastic / teratoma の一部)

 

・In non germ-cell carcinomas, SALL4 was detected in 20% of cases or more of serous carcinoma of ovary, urothelial high-grade carcinoma, and gastric adenocarcinoma (especially the intestinal type). 

Germ cell tumor 以外の腫瘍では、卵巣のserous carcinoma・高異型度の尿路上皮癌・胃癌(腸型の腺癌)において20%強の症例で陽性。

 

・SALL4 was only rarely (≤5%) expressed in mammary, colorectal, prostatic, and squamous cell carcinomas

ごくまれに乳がん・大腸癌・前立腺癌・扁平上皮癌で陽性をしめす

 

・ラブドイド腫瘍 (rhabdoid tumors of kidney and extrarenal sites) や Wilms tumor では陽性。

・まれに、melanoma, desmoplastic small round cell tumor, epithelioid sarcoma, and rhabdomyosarcoma でも陽性。

・すべての血液系の腫瘍で陰性。

 

・結論: SALL4 は奇形腫以外の germ cell tumor で有用であり、OCT4やNANOGが陰性の 非 germ cell tumor においても診断の助けになりうる。

 

最後に

ということで、私は良く知らなかったマーカーですが、泌尿器病理医としては知っておくべき抗体でした。とくに精巣腫瘍の転移を疑う場合などに有用かと感じました。

膀胱癌に対する化学療法・・DDMVACとは?

こんにちは。

 

膀胱癌に対する化学療法といえば MVAC が標準的であり、私の記憶するかぎりずっと変化していないと思っていました。

 

ところが最新のNCCNのガイドラインを見ていると、全身治療の推奨レジメンとして

"DDMVAC with growth factor support" 

なるものが category 1 (高エビデンス)で記載されています。

 

DDMVAC is preferred over standard MVAC on categry1 evidence for metastatic disease showing DDMVAC to be better tolerated and more effective than conventional MVAC in advanced disease.2,8
Based on these data, the traditional dose and schedule for MVAC is no longer recommended.

 

ということで、MVACにかわってDDMVACが標準になっている(少なくともUSAのガイドライン上は)。

DDMVACは、"dose-dense methotrexate, vinblastine, doxorubicin, and cisplatin" のことであり、MVACのあたまに dose-dense をつけたもの。

 

その根拠となっている文献2つをチェックします。

www.ncbi.nlm.nih.gov

1つ目は2001年のJournal of clinical oncology でタイトルが長いのですが

"Randomized phase III trial of high-dose-intensity methotrexate, vinblastine, doxorubicin, and cisplatin (MVAC) chemotherapy and recombinant human granulocyte colony-stimulating factor versus classic MVAC in advanced urothelial tract tumors: European Organization for Research and Treatment of Cancer Protocol no. 30924."

 

www.ncbi.nlm.nih.gov

2つ目は2006年のEuropean journal of cancer でタイトルは

” Seven year update of an EORTC phase III trial of high-dose intensity M-VAC chemotherapy and G-CSF versus classic M-VAC in advanced urothelial tract tumours."

 

どちらもイタリアのSternberg CN が first author となっているEORTCの研究。

 

2001年の論文を要約すると、、

A total of 263 patients with metastatic or advanced TCC who had no prior chemotherapy were randomized to HD-MVAC (2-week cycles) or MVAC (4-week cycles)

・263名を対象に、2週間サイクルの high dose MVAC と 4週間サイクルのconventional MVAC を比較 (38ヶ月)

・HD-MVACの overall response は 62%であった (MVACが 50%)

There was no statistically significant difference in survival (P =.122) or time to progression (P =.114)

・生存率や病勢進行までの時間は有意差なし

a benefit was observed in progression-free survival, CR rates, and overall response rates with HD-MVAC.

・結果、PFS, CR rate, overall response で有意な差あり

 

2006年の論文を要約すると、、

・同じく263名を対象に、2週間サイクルの high dose MVAC と 4週間サイクルのconventional MVAC を比較 (・・・中央値 7.3 年と期間が長くなっています)

・overall response rate (RR) of 64% vs 50% (やはりhigh dose が上)

・24.6% are alive on the HD-M-VAC arm vs. 13.2% on the M-VAC arm ・・・(全生存でも high dose が上)

・The mortality hazard ratio (HR) was 0.76

・2-year survival rate for HD-M-VAC was 36.7% vs. 26.2% for M-VAC

・At 5 years, the survival rate was 21.8% in the HD-M-VAC vs. 13.5%

・Median survival was 15.1 months on HD-MVAC and 14.9 months on M-VAC ・・・(中央値でみると生存期間は15ヶ月前後なので大差はない印象)

・HD-M-VAC produces a borderline statistically significant relative reduction in the risk of progression and death compared to M-VAC.

 

さらに長期間追跡し、high dose の方が癌の進行や死亡のリスクを減少させるという結論になっています。

 

感想

DDMVAC という聞きなれない言葉が出てきたので反応しましたが、基本的には同じレジメンで、4週間サイクルを2週間サイクルにすることで効果を高めるということでした。もちろん、好中球の減少が生じるので、GCS-Fの投与が必要。

このあたりは日本人と外国人では異なるかもしれませんし、保険のかねあいもあるので、どの程度使われているかわかりませんが。

前立腺摘除後の再発に関する定義【NCCNガイドラインより】

前立腺癌のマネジメントにおいてPSAは必須の役割を担っています。

 

シンプルに考えると

「PSAが上昇=再発」

という感じです。

これはこれでおおざっぱな理解としては大丈夫なのですが、きっちりした定義もあります。

 

NCCN (national comprehensive cancer network) のガイドラインに記載されている再発の定義をみていくと、、

 

(参照先: https://www.nccn.org/professionals/physician_gls/PDF/prostate.pdf

いわゆるPSA再発は、"PSA persistence/recurrence" と表記されております。

NCCN Guidelines Version 4.2019, PROS-12 では

PSA persistence/recurrence after RP is defined as failure of PSA to fall to undetectable levels (PSA persistence) or undetectable PSA after RP with a subsequent detectable PSA that increases on 2 or more determinations (PSA recurrence)

となっています。

 

つまり、前立腺全摘後に

「PSAが検出感度以下にならない」=PSA persistence

「PSAが検出感度以下になった後に2回以上PSAが上昇する」= PSA recurrence

というわけです。

 

再発という言葉は後者にあてはまるので、訳としては適切ではないかもしれませんが、ガイドライン上は両者をまとめて扱っているので、いわゆる再発= PSA persistence/recurrence と理解しておくほうが実際的です。

 

治療方法によって再発の定義が変わってくるということは気をつけておきたい点だと思います。

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