uropatho’s diary

泌尿器病理医によるブログ

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泌尿器病理

Clear cell papillary renal cell carcinoma と思われる症例

こんにちは。 Clear cell papillary renal cell carcinoma (CCPRCC) と思われる症例を1例経験したのですが、未だ診断したことがないので少し勉強してみました。 おそらくWHOに登場してから認識されるようになった疾患ではないかと。 WHO Classification of T…

【論文チェック】Biphasic squamoid alveolar renal cell carcinoma (BSARCC) の報告例

Biphasic squamoid alveolar renal cell carcinoma (BSARCC) の報告を見かけたのでチェックしてみました。 ・2019 ・Patholgy International ・Zhou L ら ・上海ジャオトン大学 www.ncbi.nlm.nih.gov ・Papillary RCC の一型として、まれな腫瘍である。 …

【論文チェック】前立腺生検組織を Multiplex method で作成する。

こんにちは。 前立腺生検の検体作成方法についての文献が出ていました。 www.ncbi.nlm.nih.gov ・2019 ・American journal of clinical pathology ・Murugan P et al. ・ミネソタ大学 生検組織の作成 (processing) に関して、通常の作成方法とBxChip を…

【論文チェック】Reverse Polarity を有した乳頭状腎腫瘍

こんにちは。 先日、clear cell papillary RCC の文献を読んでいて、" reverse polarity" という単語が頭に残っており、それがもとで今回の論文をpick up してみました。 同じ著者が最近2本の論文を載せています。 www.ncbi.nlm.nih.gov 1本はこちら (abst…

【論文チェック】Clear cell papillary renal cell carcinoma のレビュー記事

こんにちは。 比較的新しい疾患分類ですが、Clear cell papillary renal cell carcinoma (ccpRCC) に関する記事を見つけたのでチェックしてみました。 open access で病理画像もみることができますし、ショートレビューなので短時間で読むにはおすすめ。 www…

精巣腫瘍の診断。鞘膜への露出や精巣網への浸潤について。

こんにちは。 精巣腫瘍の診断においては、まず組織型ありきなのですが、ステージングのためには脈管侵襲像や精巣鞘膜への露出がないかどうかということも見ておく必要があります。 そのあたりは精巣腫瘍取扱い規約についての記事がありますのでそちらを参照…

尿路上皮癌の再発に関する2つの説「intraluminal seeding」,「field cancerization」について。

こんにちは。 尿路上皮癌は大きく上部尿路(腎盂・尿管)癌と膀胱癌に分類されます。 腎盂尿管癌の場合は治療として腎尿管全摘が選択されるわけですが、術後には高い確率(22-47%)で膀胱内再発が生じます。 このメカニズムとして多中心性発生 (field canceriz…

TURBTの際に生検 (cold cup biopsy) をしておく必要はあるか。

こんにちは。 膀胱腫瘍に対するTURBT (transurethral resection of bladder tumor) は泌尿器病理においてはかなりポピュラーな検体です。 泌尿器科医にとっても前立腺生検に次いで身近な病理検体ではないかと。 「TURBTの際に生検 (cold cup biopsy) をして…

精巣腫瘍の組織像【セミノーマ】

こんにちは。 精巣腫瘍で最も頻度が多いのがセミノーマです。50%程度。 このseminoma と non-seminoma の鑑別は病理診断において重要なのですが、pure seminoma は均一な組織像を示すことが多いので精巣腫瘍の診断ではもっともわかりやすいと思います。 ↓ …

Renal dysplasia の組織像

こんにちは。 あまり目にすることは無いと思いますが、renal dysplasia の症例です。 教科書的には ・先天的な renal malformation ・ureteric bud と metanephric blastema の交通不全から生じる ・1000~4000人に1人で比較的 common ・鑑別診断は, autosom…

【前立腺癌】基底細胞様の形態をとる carcinoma cell について

こんにちは。 以前からなんとなく認識していたのですが、IDC-Pの概念を知ってからは特に「基底細胞様の形態をとる癌細胞」が気になります。 こちらは前立腺全摘標本の一部に見られた癌腺管です ↓ 。 その拡大 ↓ 境界明瞭な癌胞巣がみられ、篩状構造をとる Gl…

前立腺生検本数は12本までにして欲しいという願い。

こんにちは。 泌尿器病理医が日々思ったことなどを書いています。 先日、他院の標本ですが前立腺生検を拝見しました。 なんと24本生検! 日常的にやっているのか、たまたま多いのかわかりませんが、勘弁して欲しいと感じたのが正直なところです。 昔は6本…

スピロノラクトン体の目立つ副腎皮質腺腫(組織像)

こんにちは。 一般的に副腎皮質腺腫の中でアルドステロン産生腫瘍はサイズが小さいことが多いです。アルドステロン産生腺腫 (aldosteron producing adenoma: APA)により原発性アルドステロン症を生じるのですが、時にスピロノラクトン体が目立つ症例がありま…

前立腺におけるIDC-Pについて

こんにちは 前立腺癌では導管内に癌が進展・増殖する場合があり、intraductal carcinoma of the prostate: IDC-P と呼ばれます。 2016年のWHOブルーブックでは「intraductal carcinoma」として記載されています。 WHO Classification of Tumours of the Urin…

陰茎癌のTNM分類

こんにちは。 日本人では頻度は少ないですが、たまに症例があるのでTNM分類をメモしておきます。 症例が少ないためか癌取扱い規約はありません。2016年のWHO classification に準じておきます。同書ではAJCC 7th edition (2010)を基にしています。 T分類 Tis…

精巣垂捻転の組織像

こんにちは。 以前、精巣垂と精巣上体垂の違いを記事にしました。今回は、精巣垂捻転の組織を載せておきます。 www.pathonosuke.net 精巣垂は乳頭状の組織で精巣上体垂は嚢胞状の組織でした。 ↓こちらは精巣垂とわかります。 弱拡大の精巣垂組織です。間質浮…

TAEによる膀胱癌の組織変化

こんにちは。 泌尿器病理の中でも膀胱癌に対するTURBTというのは変性が強い組織の一つです。 生検であればそれほど組織像の変化はないのですが、熱がかかる・分断される・挫滅が加わるなどの変化が大きい「ループ電極での切除」は病理医泣かせといえます。変…

後腹膜脂肪肉腫では、「脱分化型脂肪肉腫に横紋筋肉腫様の分化を伴う」ことがある。

こんにちは。 自称泌尿器病理医が日常出会った症例や調べたことなどを書いています。 後腹膜脂肪肉腫の症例を経験 論文ひとつ目 論文ふたつ目 2本の論文から考える 自験例を考える 直近の論文 後腹膜脂肪肉腫の症例を経験 後腹膜脂肪肉腫の症例を診断する機…

TNM分類「精巣腫瘍」の備忘録ー精巣腫瘍取扱い規約準拠ー

こんにちは。 泌尿器病理医が病理その他について思うことを書いています。 本稿では2018年8月に改訂された「精巣腫瘍取扱い規約第4版」をチェックしていきます。 精巣に限らず、UICCのTNM分類第8版に沿う形になっているのが最近の傾向ですね。 さらに泌尿器…

尿管の正常組織像

こんにちは。 本日は尿管の正常組織像を載せておきます。 左から順に粘膜~固有筋層~周囲脂肪組織。 尿管の粘膜は尿路上皮に覆われています。膀胱や腎盂と同じです。表層部のアンブレラ細胞が確認できます。 粘膜筋板は欠くことが多く、ほとんどの場合平滑…

腎静脈内への腫瘍進展をしめす腎細胞癌

こんにちは。 Clear cell renal cell carcinoma の腎静脈内進展。いわゆるtumor thrombus の組織像です。 上方に動脈があり随伴する静脈内にRCCの静脈浸潤像が見られます。 写真の左に腎実質がみえるので、ちょうど脈管が腎実質に入るレベルの腎静脈分枝です…

【組織像】尖圭コンジローマ

こんにちは。 外陰部にできる condyloma acuminatum です。 弱拡大では乳頭状の表皮肥厚が見られます。 拡大すると扁平上皮には表層においてコイロサイトが見られます。 よくみると軽度の核形の不整と核周囲の淡明化 (空胞化)があります。 parakeratosis が…

高分化脂肪肉腫・脱分化型脂肪肉腫における免疫染色について

こんにちは。 病理医が目にする頻度はあまり高くありませんが、たまに間葉系悪性腫瘍(肉腫)に出会います。 泌尿器病理をやっていると様々な臓器に発生する悪性リンパ腫が思い浮かぶのですが、いわゆる肉腫というと後腹膜領域に発生する高分化脂肪肉腫 (aty…

病理医にとって理解しておきたい「ウィル・ロジャース現象」

こんにちは。 病理医の診断には良悪を決めるところから、悪性度やスコアをつけるところまで様々な(責任の)レベルがあります。 良悪については間違うと責任を問われる可能性があります。しかし、その悪性度(high grade / low grade や Grade 1~3 など)の…

前立腺癌の組織像。Gleason 3+4 と 4+3。

こんにちは。 前立腺癌に特有のGleason score について、実例を載せておきます。 Gleason score はISUPのコンセンサス会議で改正され、少しずつ変化してきました。 再現性を担保する上で重要なことは、 ・弱拡大での観察を重視する ・独立腺管=Gleason patt…

膀胱の上皮内癌 = Carcinoma in situ (CIS) の組織像

こんにちは。 膀胱のCISの像を載せておきます。 粘膜上皮の表層を被蓋するアンブレラ細胞はかなりの部分で残存しています。 このアンブレラの下にCISの増殖が見られます。 核の多型性が目立つ異型尿路上皮細胞で、その核の大きさに注目すると、間質のリンパ…

Inverted papilloma と von Brunn's nest

こんにちは。 Inverted papilloma と von Brunn's nest についてです。 いずれも膀胱の三角部近傍に好発します。良性の病変ですね。 こちらは Inverted papilloma です。表面(画像の左側)に非腫瘍性の尿路上皮が覆っています。 その下方には内反性に増殖す…

急性膀胱炎の組織像

こんにちは。 今回は粘膜上皮内にかなり強い好中球浸潤が見られた症例です。 尿路上皮内に好中球浸潤が目立ちます。これくらいの炎症細胞浸潤があると反応性に上皮異型が見られることがおおいのですが、ほとんど核の腫大はありません。間質のリンパ球と同じ…

膀胱固有筋層の組織像

こんにちは。 今回は膀胱固有筋層の組織像を載せておきます。 上はほぼ正常の粘膜上皮です。その下に粘膜固有層があり、下半分が固有筋層の一部です。消化管に見られるようにどの部位でも粘膜筋板があるというわけではありません。 このように筋板がなく固有…

膀胱粘膜の正常組織像

こんにちは。 「Histology for Pathologist」という本があります。病理の道に入ってから今までかなりお世話になっている組織学の本です。 我々は形態をみて正常からの隔たりを診断根拠にしているわけです。正常の組織像とはどんなものかというのはとても大事…

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