uropatho’s diary

泌尿器病理医によるブログ

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Greenspan grade について

こんにちは。

 

今回は、シェーグレン症候群(Sjögren's syndrome: SS or SjS) の組織学的診断についてです。

 

よく用いられる基準にGreenspan gradeがありますので、このGradeを備忘録として記載しておきます。。

 

臨床的にSSが疑われ口唇の生検組織(おおよそ2×2mm= 4mm²)が採取されてくることがあり、組織学的なGradeの評価を求められます。

 

Greenspan grade では組織学的に「小葉間導管周囲に50個以上の単核細胞浸潤=focus」が何個あるかを評価する必要がでてきます。

 

Greenspan grade

Grade 0 ⇒ 変化のみられないもの

Grade 1 ⇒ 軽度の細胞浸潤をみるもの

Grade 2 ⇒ 中等度の細胞浸潤で 4mm² あたり 1 focus 未満

Grade 3 ⇒ 4mm² あたり 1 focus

Grade 4 ⇒ 4mm² あたり 1 focus 以上

 

口唇の生検組織1片を4mm² とすると1片あたり平均何個の focus があるのかを計算することになります。

例えば、、

標本上2個の小唾液腺があって、focus が1個・・・focus は 1÷2 = 0.5 で1未満

標本上3個の小唾液腺があって、focus が2個・・・focus は 2÷3 = 0.67 で1未満

標本上4個の小唾液腺があって、focus が5個・・・focus は 5÷4 = 1.25 で1以上

という感じでGradeを判断します。

 

シェーグレン症候群の診断基準

シェーグレン症候群診断基準(厚生労働省研究班、1999年)を見てみます。


1.生検病理組織検査で次のいずれかの陽性所見を認めること
A)口唇腺組織でリンパ球浸潤が4mm2当たり1focus 以上
B)涙腺組織でリンパ球浸潤が4mm2当たり1focus 以上
2.口腔検査で次のいずれかの陽性所見を認めること
A)唾液腺造影で stage I(直径 1mm以下の小点状陰影)以上の異常所見
B)唾液分泌量低下(ガムテスト10分間で10mL以下、又はサクソンテスト2分間2g以下)があり、かつ唾液腺シンチグラフィーにて機能低下の所見
3.眼科検査で次のいずれかの陽性所見を認めること
A)シルマー(Schirmer)試験で5mm/5min以下で、かつローズベンガルテスト(van Bijsterveld スコア)で陽性
B)シルマー(Schirmer)試験で5mm/5min以下で、かつ蛍光色素(フルオレセイン)試験で陽性
4.血清検査で次のいずれかの陽性所見を認めること
A)抗SS-A抗体陽性
B)抗SS-B抗体陽性

以上1、2、3、4のいずれか2項目が陽性であればシェーグレン症候群と診断する。

(難病情報センターHPを参照)

 

生検組織の位置づけ

上の厚生労働省の診断基準でみてみると、Greenspan grade が3か4であれば診断基準を満たします。

ということは臨床上は、Grade 1, 2 なのか Grade 3, 4 なのかという点が重要なのだと思います。

 

記載例

Non-specific or sclerosing chronic sialadenitis, Grade 1

Chronic atrophic sialadenitis, Grade 2

Focal lymphocytic sialadenitis, Grade 3

Chronic active sialadenitis, Grade 4

 

外科病理学

外科病理学

 

 

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