uropatho’s diary

泌尿器病理医によるブログ

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腎静脈内への腫瘍進展をしめす腎細胞癌

こんにちは。

 

Clear cell renal cell carcinoma の腎静脈内進展。いわゆるtumor thrombus の組織像です。

 

上方に動脈があり随伴する静脈内にRCCの静脈浸潤像が見られます。

写真の左に腎実質がみえるので、ちょうど脈管が腎実質に入るレベルの腎静脈分枝です。

 

こちらは腎洞脂肪組織内の主静脈です。血管内に腫瘍が充満するように増殖しており、真ん中やや右では分枝血管内にも連続している像を認めます。このようにClear cell RCCは結合性・連続性を保持しつつ血管内で増殖する不思議な性質を持っています。連続性にIVC内に到達することや、進展すると右心房まで到達する例もあります。

腎洞内や腎実質内の静脈内に樹枝状に腫瘍の増殖を見ることが多いです。

 

やや壁の薄い筋性血管壁とRCC。腫瘍内に出血が目立ちます。

 

主静脈に近い壁の厚い筋性血管。結合性が保持されているということと相関しているかもしれませんが、静脈内塞栓を形成する腫瘍はG1~G2程度の典型的な淡明細胞癌が多いように思います。

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