2019-01-01から1年間の記事一覧
sessile serrated adenoma/polyp (SSA/P) は消化器病理医でなくても馴染みのある疾患概念となってきました。 SSA/Pに細胞異型があるもの (with cytological dysplasia) を見る機会があり、この辺を簡単に学んでいきたいと思います。 www.ncbi.nlm.nih.gov ・…
こんにちは。 Clear cell papillary renal cell carcinoma (CCPRCC) と思われる症例を1例経験したのですが、未だ診断したことがないので少し勉強してみました。 おそらくWHOに登場してから認識されるようになった疾患ではないかと。 WHO Classification of T…
Biphasic squamoid alveolar renal cell carcinoma (BSARCC) の報告を見かけたのでチェックしてみました。 ・2019 ・Patholgy International ・Zhou L ら ・上海ジャオトン大学 www.ncbi.nlm.nih.gov ・Papillary RCC の一型として、まれな腫瘍である。 …
膀胱癌に対する免疫チェックポイント阻害剤ということで、調べてみました。 NCCNのガイドライン上はどのような薬剤が使用されているのか。 https://www.nccn.org/professionals/physician_gls/pdf/bladder.pdf ファーストラインで使用する場合は、シスプラチ…
前立腺の IDC-P に関して日本からの報告があったのでチェックしました。 intraductal carcinoma of the prostate (IDC-P) は予後不良因子だということは知られています。 ・2019 ・The prostate ・名古屋のGroup(Tsuzuki T ら) 前立腺全摘後の生化学的…
こんにちは。 最近、SALL4の抗体が使えるようになったので、病理診断においてどのような使い道があるのか調べてみました。 www.ncbi.nlm.nih.gov ・2014 ・AJSP ・Miettinen ら ・SALL4は " embryonic cell pluripotency " にかかわる転写因子であり、ge…
こんにちは。 膀胱癌に対する化学療法といえば MVAC が標準的であり、私の記憶するかぎりずっと変化していないと思っていました。 ところが最新のNCCNのガイドラインを見ていると、全身治療の推奨レジメンとして "DDMVAC with growth factor support" なるも…
前立腺癌のマネジメントにおいてPSAは必須の役割を担っています。 シンプルに考えると 「PSAが上昇=再発」 という感じです。 これはこれでおおざっぱな理解としては大丈夫なのですが、きっちりした定義もあります。 NCCN (national comprehensive cancer ne…
こんにちは。 前立腺癌に対して様々な放射線治療が行われますが、その治療後の再発というのはどう判断しているのかという点をチェックしました。 NCCN (national comprehensive cancer network) のガイドラインに記載されている再発の定義をみていくと、、 R…
こんにちは。 最近NCCNのガイドラインにログインできるようになったので(無料で登録可能)、最新版の「前立腺癌」をみていきます。 https://www.nccn.org/professionals/physician_gls/PDF/prostate.pdf 前立腺癌のガイドラインはVersion 4.2019 (2019/8/19…
腎癌に対する治療がどのように変わって来ているのか、簡単に調べてみました。 NCCNのガイドラインについては2018年版は日本語版をみることができます。 NCCNガイドライン 泌尿器がん|NCCNガイドライン日本語版 ソラフェニブが2008 年 4 月に、スニチニ…
こんにちは。 前立腺生検の検体作成方法についての文献が出ていました。 www.ncbi.nlm.nih.gov ・2019 ・American journal of clinical pathology ・Murugan P et al. ・ミネソタ大学 生検組織の作成 (processing) に関して、通常の作成方法とBxChip を…
こんにちは。 Early stage の精巣腫瘍についてAUAのガイドラインがでていました。 こういったガイドラインが公開されているのはさすがAUAです。 ざっと見ていきます。 www.ncbi.nlm.nih.gov ・2019 ・journal of urology ・AUAチームによるシステマテ…
こんにちは。 先日、clear cell papillary RCC の文献を読んでいて、" reverse polarity" という単語が頭に残っており、それがもとで今回の論文をpick up してみました。 同じ著者が最近2本の論文を載せています。 www.ncbi.nlm.nih.gov 1本はこちら (abst…
こんにちは。 比較的新しい疾患分類ですが、Clear cell papillary renal cell carcinoma (ccpRCC) に関する記事を見つけたのでチェックしてみました。 open access で病理画像もみることができますし、ショートレビューなので短時間で読むにはおすすめ。 www…
こんにちは。 新膀胱造設に際して尿道断端の術中迅速診を省略できるか という趣旨の研究です。 www.ncbi.nlm.nih.gov ・PMID: 31059666 DOI: 10.1097/JU.0000000000000317 ・2019年 ・Journal of Urology・author: Labbate C, Steinberg GD ら・シカゴ大学 …
こんにちは。 医学論文を適当にピックアップして読んでみました。 今回は前立腺癌とサプリメントについての論文です。 www.ncbi.nlm.nih.gov ・2019年 ・Journal of Urology ・PMID: 31091175 DOI: 10.1097/JU.0000000000000336・1st author Zuniga KB・last…
こんにちは。 精巣腫瘍の診断においては、まず組織型ありきなのですが、ステージングのためには脈管侵襲像や精巣鞘膜への露出がないかどうかということも見ておく必要があります。 そのあたりは精巣腫瘍取扱い規約についての記事がありますのでそちらを参照…
こんにちは。 尿路上皮癌は大きく上部尿路(腎盂・尿管)癌と膀胱癌に分類されます。 腎盂尿管癌の場合は治療として腎尿管全摘が選択されるわけですが、術後には高い確率(22-47%)で膀胱内再発が生じます。 このメカニズムとして多中心性発生 (field canceriz…
こんにちは。 膀胱腫瘍に対するTURBT (transurethral resection of bladder tumor) は泌尿器病理においてはかなりポピュラーな検体です。 泌尿器科医にとっても前立腺生検に次いで身近な病理検体ではないかと。 「TURBTの際に生検 (cold cup biopsy) をして…
こんにちは。 スマホで病理のミクロ像を撮影するために色々と工夫してきたのですが、また少し改良を加えたので報告。 なるべく手軽に病理組織像を撮影するために、接眼レンズから覗き込むように撮影するいわゆるコリメート法を用いてます。 当初はフリーハン…
こんにちは。 専門ではないけれど避けては通れないというのが消化器病理。 自称泌尿器病理といいながら実際には消化器の標本を見ている数のほうがはるかに多いので、かるく勉強してみようと思いamazonで評価の高かった「3週間de消化器病理: 臨床医のための病…
こんにちは。 毛母腫 (pilomatricoma) の組織像です。石灰化上皮腫 (calcifying epithelioma) とも呼ばれます。 たまに見る腫瘍なのですが、組織像が独特なので見たことがあると印象に残りやすいと思います。 弱拡大で濃い紫色にみえるところがbasophilic ce…
こんにちは。 ケラトアカントーマ (keratoacanthoma) の組織像です。 画像のようにドーム状の隆起をしめす病変で、底部が丸く収束しています。これを 「cup-shape」 と表現されます。 真ん中は角栓を容れてやや陥凹が見られます。 角化が目立ちます。細胞…
こんにちは。 大腸癌癌取扱い規約の第9版が2018年7月発売ですのでもう1年近く経過しています。 以前、発売後に変更点をチェックしたのですが、再度備忘録としてメモしておきます。ここに記載する内容は筆者なりの解釈や改変が入っているので実際の規約を基本…
こんにちは。 皮膚や皮下腫瘍としては脂肪腫は一般的なものですが、少し変わった脂肪腫をみました。 脂肪腫の疑いで切除されてきた検体です。 弱拡大では脂肪成分が主体の印象です。やや脂肪以外の成分が目立つ感じがあります。 拡大していくと間質成分が多…
こんにちは。 精巣腫瘍で最も頻度が多いのがセミノーマです。50%程度。 このseminoma と non-seminoma の鑑別は病理診断において重要なのですが、pure seminoma は均一な組織像を示すことが多いので精巣腫瘍の診断ではもっともわかりやすいと思います。 ↓ …
こんにちは。 潰瘍性大腸炎症例で、生検されてきた場合にMatts分類の記載を依頼されることがあります。しかし手持ちの成書には載っていないので調べてみました。 Mattsの生検組織所見スコア Mattsの内視鏡所見スコア 尺度の違いについての注意 基本的にUlcer…
こんにちは。 あまり目にすることは無いと思いますが、renal dysplasia の症例です。 教科書的には ・先天的な renal malformation ・ureteric bud と metanephric blastema の交通不全から生じる ・1000~4000人に1人で比較的 common ・鑑別診断は, autosom…
こんにちは。 以前からなんとなく認識していたのですが、IDC-Pの概念を知ってからは特に「基底細胞様の形態をとる癌細胞」が気になります。 こちらは前立腺全摘標本の一部に見られた癌腺管です ↓ 。 その拡大 ↓ 境界明瞭な癌胞巣がみられ、篩状構造をとる Gl…