歯根嚢胞 (radicular cyst) の組織像

こんにちは。

今回は、歯根嚢胞 (radicular cyst) の組織像を示します。

重層扁平上皮に裏打ちされる嚢胞壁組織です。上皮下にはリンパ球・形質細胞主体の炎症細胞浸潤を認めます。

嚢胞腔側（左）の裏装上皮層。

2層目の肉芽組織層。

3層目の線維性結合組織層。

以上のとおり、基本的には3層構造を示します。上皮は非角化重層扁平上皮であることに注意です。 非特異的な像ですので、X線画像を含む臨床診断が重要だと思います。

なお錯角化が見られる場合は、角化嚢胞性歯原性腫瘍 (keratocystic odontogenic tumor) を考えます。

教科書的には

・歯根嚢胞はマラッセの残存上皮に由来する炎症性歯原性上皮嚢胞で、慢性根尖性歯周炎から発生する。

・病変部のマラッセの残存上皮が炎症刺激で増殖し、内部に変性・融解が生じた結果、嚢胞が形成される。 

・顎骨に生じる嚢胞のなかで最も頻度が高く、上顎切歯部や下顎第一大臼歯に多い。 

という特徴があります。

参考図書: 

病理診断クイックリファレンス 2015年 04 月号 [雑誌]: 病理と臨床 増刊