こんにちは。
以前からなんとなく認識していたのですが、IDC-Pの概念を知ってからは特に「基底細胞様の形態をとる癌細胞」が気になります。
こちらは前立腺全摘標本の一部に見られた癌腺管です ↓ 。
その拡大 ↓
境界明瞭な癌胞巣がみられ、篩状構造をとる Gleason pattern 4 (or 5)の腺癌の像です。胞巣辺縁部には核の濃染と扁平~やや細長い形状の核形をした腫瘍細胞が存在します。
同じような核の濃い細胞は胞巣内にも散在しているのがわかります。
ぱっとみた感じでは基底細胞が取り巻いているように思うのですが、これはIDC-Pではなく、基底細胞様の細胞も癌細胞です。
胞巣内には神経線維束が存在することから(pn+)、これが導管をみているのではないと認識できます。
すこし引いてみたところの画像です ↓
右上に先ほどの癌巣、左下には非腫瘍性の前立腺腺管が見えます。
↑ 両者を比較してみると、左下にみえる基底細胞よりも右上にみえる腫瘍細胞のほうが核クロマチンの増加や核形不整が強いことがわかります。
別の視野です。濃染核の腫瘍細胞を強拡大で見ています。
このような扁平・菱形・星芒状の形態をしめす基底細胞様細胞は癌腺管の辺縁に位置することが多く、胞巣内部にも少数ながら存在することがわかります。
高悪性度の腺癌ですので、腫瘍内でのheterogenity も高度だと思いますし、それを反映して多形性が目立つこともあると思います。
このような形態をしめす癌細胞もあるということがわかっていればIDC-Pとの鑑別にも役立つのではないかと思いました。
それでは。