uropatho’s diary

泌尿器病理医によるブログ

MENU

スポンサーリンク

泌尿器病理

精巣腫瘍取扱い規約 第4版が発売されました(2018/8/22)

こんにちは。 本日8/22に精巣腫瘍取扱い規約の第4版が発売されました。 第3版が2005年でしたので13年ぶりの改訂になります。 内容紹介精巣腫瘍では信頼性の高い基準に基づいて適切かつ迅速な診断と治療を行い、データを蓄積することは重要である。転移を有す…

膀胱壁内に脂肪組織が見られることは稀ではありません。

こんにちは。 経尿道的膀胱腫瘍切除術(TURBT)では腫瘍の採取と切除を目的とし、内視鏡的に粘膜から浅筋層をループ電極を用いて削るように切除します。 ですので、膀胱の固有筋層をすべて削ってしまうような深い切除をした場合は穿孔を起こすため、尿が膀胱…

Jonsen's score について

こんにちは。 TESEやMD-TESEの検体をたまにみることがあります。精子形成の有無や、どの程度の分化段階までのgerm cellが確認できるのかなど評価するわけですが、おそらくはJonsen's score をつけている病理医が多いのではないでしょうか。 覚えきれないので…

精巣垂と精巣上体垂の像

こんにちは。 今回は、私自身が「どっちがどうだっけ?」と混乱してしまいがちなこの二つについて記載しておきます。 それほど目にする頻度は高くないですが、急性陰嚢症をおこすこともあり、精巣固定術の際に採取されることがあります。また精巣腫瘍での除…

「腎癌(腎細胞癌)」のGradingについての備忘録 ー腎癌取扱い規約準拠ー

腎癌(腎細胞癌)の病理組織学的TNM分類について以前記載しましたが、腎癌のグレーディングについてもここに記しておきます。現規約では「従来の日本規約」に加えて「Fuhrman分類」についても記載されています。 なお現行のWHO classification にはWHO/ISUP gr…

【副腎】褐色細胞腫 pheochromocytoma

副腎原発の褐色細胞腫の組織像です。 副腎だと褐色細胞腫 pheochromocytomaと呼ばれ、副腎以外に生じるとparagangliomaという名前になる相同の病変です。 副腎髄質細胞に類似した、好塩基性もしくは両染性の細胞質を有した腫瘍細胞がびまん性(索状?)に増…

副腎皮質腺腫と癌の鑑別「Weiss の criteria」について ー副腎腫瘍取扱い規約準拠ー

副腎皮質腺腫と癌の鑑別において用いられるWeiss の criteria について記しておきます。 この指標は9項目からなり、3項目以上を満たせば副腎皮質癌と診断されます。 「Weiss の criteria」 1.高度な核異型2.核分裂像の亢進・・・ 高倍率50視野中5個をこ…

【前立腺】癌と間違えやすい萎縮腺管

前立腺では癌腺管か非癌腺管かの鑑別は時として難しいものです。数多く診断していても高分子量サイトケラチンの34βE12は常に併用したいと思うところです。 癌と間違えやすい非癌腺管として「萎縮腺管」があります。分泌細胞が消失して基底細胞が腺管を構築し…

【前立腺】ホルモン治療後の前立腺癌の組織像とグレーディングしない理由

ホルモン治療後の前立腺癌に対してはGleason scoreをつけないことになっています。これは治療による癌腺管の形態変化がおこるために正しいグレーディングができなくなるからです。 短期的に抗アンドロゲン製剤を投与された後に全摘された症例です。 この写真…

TNM分類「前立腺癌」の備忘録-前立腺癌取扱い規約準拠-

前立腺癌のTNM分類についての備忘録です。2018年2月現在出版されている泌尿器領域の癌取扱い規約においてはこの前立腺癌取扱い規約(第4版)を含めてUICCのTNM分類第7版が採用されています。 T1 実際的にはTUR-P・HoLEP・TUEBの場合にT1a, T1bがつきます。 …

【前立腺】尿路上皮癌の前立腺導管内進展像

尿路上皮癌(膀胱癌の再発)が前立腺の導管内に進展する像です。 臨床的には膀胱癌に対してBCG膀胱内注入療法後に尿細胞診陽性が続くために精査されました。経尿道的に採取された「①前立腺部尿道」および「②経会陰的に針生検で採取された前立腺組織」です。…

TNM分類「膀胱癌」の備忘録-腎盂・尿管・膀胱癌取扱い規約準拠-

膀胱癌の組織学的TNM分類についての備忘録です。2018年2月現在出版されている泌尿器領域の癌取扱い規約においてはこの腎盂・尿管・膀胱癌取扱い規約を含めてUICCのTNM分類第7版が採用されています。 膀胱癌の診断に際しては多くはTURBTあるいは生検が対象と…

TNM分類「腎癌(腎細胞癌)」の備忘録 ー腎癌取扱い規約準拠ー

腎癌(腎細胞癌)の病理組織学的TNM分類について記しておきます。古い規約と現規約では異なるので自身が覚えきれておらず、備忘録的な記事になります。 多くの切除腎細胞癌症例は腎に限局していますが、腎に限局していればT1かT2になり、腫瘍の最大径によ…

【前立腺】BPHってなんのことかわかりますか?

今回は組織像はでてきませんが、以前より気になっていたテーマです。Benign prostatic hyperplasia (BPH) についてです。いわゆる前立腺肥大症のことですが、、、、 教科書的には 本稿を書くに際してもう一度病理の教科書を確認しました。(Robbins & Cotran …

【前立腺】放射線治療後の前立腺組織像

前立腺癌に対しては放射線治療が行われることがあります。IMRTなどの外照射・小線源治療などの内照射・ほかにも粒子線治療など多岐にわたります。放射線照射後の前立腺組織はみる機会は多くありませんのでここで提示しておきます。 HEです 二相性の不明瞭な…

【精巣】Sertoli cell only syndrome

精巣から採取された検体です。精細管内には単一のSertoli cellしか見ることができません。同細胞は明瞭な核小体を1つ有するのが特徴です。精子形成の各段階のgerm cellsが含まれず、造精機能障害となります。男性不妊症症例。なお精巣における造精機能を評価…

【前立腺】BCG注入療法後にみられる肉芽腫性前立腺炎

膀胱癌の治療として膀胱内へのBCG注入療法がなされることがあります。CISに対する治療目的やTURBT後の再発予防目的ですね。治療にともない男性の場合はPSA上昇がみられることもあり、前立腺癌の除外のために生検されることがあります。膀胱内への薬剤注入で…

膀胱second TUR切片にみる類上皮細胞

膀胱癌に対するsecond TUR切片です。 壊死や肉芽組織とともに集簇するepithelioid な細胞を認めます。 核異型は目立たず、組織球かと思うも100%carcinomaを除外する自信 がなく、、念のため免疫染色を施行しました。 CD68の免疫染色で多くの組織球が集簇する…

腎血管筋脂肪腫 angiomyolipoma

泌尿器科領域でAMLといえば腎良性腫瘍である血管筋脂肪腫。 病理医と話をしていてAMLですといえば普通は急性骨髄性白血病 を想起するでしょうが、私はangiomyolipomaを考えます。 腎エコーで高輝度を示しますし、CTで脂肪成分があれば 診断は難しくないため…

【組織像】副腎皮質腺腫 adrenocortical adenoma

Adrenocortical adenoma の組織像です。 副腎皮質に類似した淡明な細胞。 好酸性の細胞。図では黒褐色の顆粒(lipochrome)を含む細胞が目立ちます。 細胞質の豊富な細胞だけでなく、かなり小型の細胞をまじえる こともあります。 好酸性の緻密な細胞質を有す…

【肉眼像】副腎皮質腺腫 adrenocortical adenoma

副腎皮質腺腫の肉眼像です。黄色~黒褐色の割面を示します。 原発性アルドステロン症の症例では小さいことが多く(2.5cm以下) Cushing症候群の症例では大きいことが多い。

副腎骨髄脂肪腫 myelolipoma

副腎の骨髄脂肪腫 myelolipoma の症例。 黒褐色割面で一部に黄色部分を含む。 副腎被膜直下にわずかに皮質細胞が確認できる。 成熟脂肪組織と血球成分からなる。

副腎ganglioneuroma

副腎発生の神経節腫 ganglioneuroma の症例。 副腎の皮質がとりまいて割面は灰白色の腫瘤を形成する。 大型の神経節細胞と神経線維・Schwann細胞により構成される。 この症例では副腎皮質と腫瘍が混在しています(左下に皮質細胞)。

RFA後の腎生検組織

腎細胞癌疑いで経皮的ラジオ波焼灼療法(radiofrequency ablation:RFA)を施行され、そののちに針生検で得られた組織です。 熱による変性が見られるも、淡明~好酸性の細胞質を有した細胞が胞巣を形成します。血管に取り囲まれる胞巣を形成していることも併…

精細管の組織像

病理組織をみていると、造精機能の保たれた精巣実質や精細管をみる機会は意外に 少ない。精子形成の保持された精細管が真ん中にあります。

精巣の奇形腫

精巣に見られた成熟奇形腫です。 線毛上皮、軟骨、腺房、脂肪、平滑筋組織を含みます。 気管支への分化を思わせる像です。

荒廃した腎実質にみるnephrogenic adenomaとの類似性

荒廃した腎実質です。尿細管や集合管が萎縮し、荒廃しています。 微小嚢胞状、細管状のパターンを示すnephrogenic adenomaに類似しており、 hobnail状の細胞も見られます。 Nephrogenic adenoma の由来が腎尿細管細胞であり、膀胱内での生着・増殖病変である…

接線方向に切れた腺管

上、HE 下、34βE12 前立腺生検で見かけた上皮の集塊。基底細胞が接線方向に切れた像でした。

前立腺癌の肉眼像-たいていは癌の結節はよくわからない

前立腺全摘の割面肉眼像です。 ほとんどの症例では多発しており、割面を観察しても癌の結節は同定しがたいです。 珍しく、肉眼的に把握できる境界明瞭な黄色の癌巣を認めました。 左TZ領域に17mm大。 この例では黄色ですが、白っぽいことも多い印象です。 右…

核の偽重層化を伴う前立腺癌腺管

前立腺生検の組織像です。 とくに弱拡大でみると腺管の密度は低く管腔もやや屈曲しており良性腺管のような 印象を受けます。腺管を構成する細胞も2~3層ほどあるように見え、二相性 があるようにも見受けられます。 実際には下のように34βE12免疫染色で二相…

スポンサーリンク