uropatho’s diary

泌尿器病理医によるブログ

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【論文チェック】Reverse Polarity を有した乳頭状腎腫瘍

こんにちは。

 

先日、clear cell papillary RCC の文献を読んでいて、" reverse polarity" という単語が頭に残っており、それがもとで今回の論文をpick up してみました。

 

同じ著者が最近2本の論文を載せています。

www.ncbi.nlm.nih.gov

1本はこちら (abstractのみ)

・2019

・AJSP

・Al-Obaidy KI,Grignon DJ ら

・インディアナ大学など

・papillary RCC の中で臨床病理学的・染色体的に特徴的な subset を評価した。
・18症例 (男性8・女性8)
・The tumors had branching papillae with thin fibrovascular cores, covered by cuboidal to columnar cells with granular eosinophilic cytoplasm, smooth luminal borders, and mostly regular and apically located nuclei with occasional nuclear clearing and inconspicuous nucleoli ・・・形態的には核が上方(apical)にあるというのが特徴か
・免疫染色では、AE1/AE3, epithelial membrane antigen, MUC1, CD10, GATA3, and L1CAM, CK7 が陽性、CD117, vimentin が陰性であった。AMACR/p504s はvariable staining
・同様にコントロール群では、GATA3 はすべて陰性で、AMACR/p504s, vimentin は陽性
・FISHによる染色体の分析を行ったところ chromosome 7 trisomy (33%), trisomy 17 (33%), and trisomy 7 and 17 (20%) などが見られた
・腫瘍の再発・転移は認めていない

 

つまり、papillary RCC のうちGATA3が陽性の群は独立した疾患分類ではないかということです。

 

続くもう1本がこちら

www.ncbi.nlm.nih.gov

同じ著者によるその後の論文です。

前回はAJSPでしたが、今回は Modern pathology です。

本当は全文読みたいのですが、どちらもオープンアクセスではありません。

 

・これまでに papillary RCC と診断された腫瘍のうち4%がこの "papillary renal neoplasm with reverse polarity"
・組織学的に、"papillary or tubulopapillary" な構築を示し、" apically located nuclei" を有する。・・・おそらくこれが "reverse polarity" であり ccpRCCと似ているのかも
・GATA3, L1CAM に陽性で、vimentinが陰性。
・次世代シーケンサーで10の腫瘍を分析。次いでPCRでKRASの変異を調べた。
・KRASミスセンス変異は, 8/10 に見られた (clustered in exon 2—codon 12)
・野生型の1例は BRAFに変異あり
・コントロール30例ではKRASの変異はなかった

この腫瘍はKRAS変異をもつ唯一の腎腫瘍であると結論しています。

 

感想

PRCCのうちの4%ということなのであまり多くはないですし、これが予後などに違いがでるのかというのは今後の報告待ちでしょうか。

これからは "reverse polarity" にも注目していきたいところです。 

 

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