uropatho’s diary

泌尿器病理医によるブログ

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膀胱の上皮内癌 = Carcinoma in situ (CIS) の組織像

こんにちは。

 

膀胱のCISの像を載せておきます。

粘膜上皮の表層を被蓋するアンブレラ細胞はかなりの部分で残存しています。

このアンブレラの下にCISの増殖が見られます。

核の多型性が目立つ異型尿路上皮細胞で、その核の大きさに注目すると、間質のリンパ球や線維芽細胞よりも相当に腫大していることがわかります。

核の色に注目すると、クロマチンが増加しており、かなり濃い色です(黒ではないですが真っ黒です)。核の形に注目すると、核の輪郭はいびつでカクカクしています。まるくないです。核縁不整とも表現されます。アポトーシス像や真ん中の方に分裂像のようなものも見えます。

この症例だとCISと容易に診断できますが、とくに上皮が間質から剥離していると核異型が強くみえますし、炎症や放射線治療後などの場合はやはり強い異型をともないます。膀胱癌の既往症例であれば、膀胱内注入療法後であったりTUR後であったり、定期的に膀胱鏡検査を受けていたりと様々な影響をうけます。

悪性かどうか迷うけど判断に困るときは「atypical cells (+)」と書いて記述することにしています。CISにはできないけれど腫瘍性だと確信できれば「urothelial dysplasia」にしますが、dysplasia と診断されても立派な名前がつくだけで内容は乏しいので臨床医が困惑するだけです。

微妙な所見のときに当てずっぽうでどちらか決めるよりは正直にかいておくほうが良いのではないかと思います。

 

それでは。

 

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