uropatho’s diary

泌尿器病理医によるブログ

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新・病理画像をスマホで撮影する方法。アダプタを改良しました。(2018/8/14)

こんにちは。

 

以前、スマートフォンで病理標本の顕微鏡画像を撮影するという記事を書きました。フリーハンドでも撮影できますが、手振れやピントあわせが難しいので、よりキレイな写真をとるために自作での撮影用アダプター(といってもきわめて簡単なものですが)を用いた方法も考えました。

 

↓ 過去記事が3つあります。 

www.pathonosuke.net

www.pathonosuke.net

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今までこの方法で病理組織像の撮影をしてきたわけなんですが、もう少し改善できないものかと考えておりました。

なお、顕微鏡の接眼レンズを覗き込むようにして写真撮影をする方法は「コリメート法」と呼ばれていて、天体写真をとるときの望遠鏡写真でも同じアプローチをすることがあるようです。

スマホでの撮影法の重要なポイント

詳しくは過去記事を参照してもらいたいのですが、撮影において重要なところを列記しておきます。

・接眼レンズから約15mm程度離れたところにカメラを保持すること

・接眼レンズとカメラの間から光が入ったり室内光が映り込むのを防ぐ必要がある。

・カメラの軸と接眼レンズの光軸を合わせることが大事 (これが一番難しい)

これらを解決するためにアダプターが必要になってきます。市販のものもありますが、簡便性という点では、自作のアダプターが優れています。

↑ このような良い商品も販売されています。 

新しく考えた方法 

さて今回使用するのは、ペットボトルのキャップです。

お金もかからず、加工の手間も大幅に削減、さらにサイズも小さくすることが可能になりました。

厚みを測ると、約14mmでしたので、いままで使用していたアダプター(15mm厚)とほぼ同じです。これが接眼レンズのサイズにちょうどピッタリです。

 

普通のキャップですね。これに径6mmほどの穴をあけていきます。 

とがったハサミを当てて、くるくると回すことで綺麗に穴をあけることができました。

キリやピックなんかでもできると思います。縁が盛り上がるので、カッターで整えています。 

 

↑ 裏・表から見たところ。小さな穴が開いています。 加工時間はおよそ10分。

 

↑ 今回使用するスマホ(P10 Lite)、背面のカメラの部分にあてがってサイズの確認をします。カメラの直径とほぼ同じ大きさの穴が開いています。もう少し大きく開けてもよさそうですが、あまり開けすぎると横からの光が入ってしまうので、ジャストサイズかやや大き目くらいが良いと思います。 

 

↑ 顕微鏡の接眼レンズにあてがいます。 

↑ そのままスマホをキャップの上にあてがい、位置を微調節することで光軸を合わせます。するとスマホの画面に顕微鏡画像が写し出されます。 

左手だけでスマホをもって、右手ではタブレットのカメラで撮影していますが、ずれることなく保持できています。

↑ 撮影画像です。トリミング後ですが、きれいにミクロ画像が撮影できています。 

組織は何かわかりますか?病理医ならわかりますね。(精細管です。)

↑ 過去に作成した拙いアダプター達と並べてみます。キャップに穴を開けただけなので、今回作成したアダプタが一番小さいです。

 

新アダプターの使用感

とりあえず、小型化することができたので持ち運びがすごく簡単になりました。材質的にも適度にしっかりしていて歪んだりしないので、扱いやすいです。

加えて、アダプターを接眼レンズにあてるときに芯出し(ちょうど真ん中に位置させること)がとても簡単になりました。

芯だしが簡単になったため、撮ろうとしてから実際に撮影が完了するまでにかかる時間が短縮できました。

他にも、スマホのカメラのサイズぎりぎりになるように穴をあけたおかげで、室内光が全く入らずに質の高い写真が撮れるようになったのも良かった点です

今となっては何故いままでこれ(ペットボトルのふた)に気付かなかったんだ、と思いますが、コロンブスの卵というのはそういうものなのかもしれませんね。

最後に

今回作成した顕微鏡画像撮影用アダプターは、簡単に用意できるため、自分以外の人にもおすすめできると感じました。きっちりと人に見せるための画像をとりたいというときは市販のアダプターを使用すれば良いかもしれませんが、簡便に気楽に撮影するという目的であれば、このアダプターを作成してみてはどうでしょうか。

 

それでは。

 

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