腎癌に対する治療がどのように変わって来ているのか、簡単に調べてみました。
NCCNのガイドラインについては2018年版は日本語版をみることができます。
NCCNガイドライン 泌尿器がん|NCCNガイドライン日本語版
ソラフェニブが2008 年 4 月に、スニチニブは同年 7 月に、アキシチニブは2012年8月に発売開始され、2013年3月にはパゾパニブが適応拡大された。さらに mTOR 阻害剤であるエベロリムスは 2010 年 4 月、テムシロリムスは同年 9 月に発売開始
ベバシズマブ、カボザンチニブ、レンバチニブ、エルロチニブは未だ本邦においては、腎癌に対する適応はない
免疫チェックポイント阻害薬に関して本邦では、2016年8月に根治切除不能又は転移性の腎細胞癌に対する二次治療以降の治療としてニボルマブが、2018年8月に化学療法未治療の中および高リスク進行腎細胞癌に対してイピリムマブとニボルマブの併用療法が適応拡大された
昔は腎癌は化学療法が効かないと勉強した覚えがありますが、複数の薬剤が登場してこの10年でずいぶん様変わりしているようです。(ほぼついていけてませんが)
英語版では
https://www.nccn.org/professionals/physician_gls/PDF/kidney.pdf
ログインが必要ですが無料で閲覧可能。
現時点では、2019年8月5日の、Version 2.2020 が最新版。
ステージⅣの clear cell RCC (clear cell histology)ではどんな薬剤を使用するかというと、
Favorable risk においては
・Axitinib + pembrolizumab, Pazopanib, Sunitinib が推奨されており (preferred regimen)、
・ほかの推奨薬として Ipilimumab + nibolumab, Cabozantinib, Akitinib + avelumab も記載されています。
Poor/ intermediate Risk においては
・Ipilimumab + nibolumab, Axitinib + pembrolizumab, Cabozantinib (preferred regimen)
・他の推奨薬として Pazopanib, Sunitinib, Axitinib + avelumab
ファーストラインと追加治療では異なるガイドラインがあります(省略)。
これらの薬剤を日本の商品名にすると、
Axitinib + pembrolizumab = インライタ + キイトルーダ
Pazopanib = ヴォトリエント
Sunitinib = スーテント
Ipilimumab + nibolumab = ヤーボイ + オプジーボ
Cabozantinib = (日本では未承認)
Axitinib + avelumab = インライタ + バベンチオ(抗PD-L1抗体)
といったところです。
もうすでに覚えきれないのですが、non-clear cell histology に関してはガイドラインが別に用意されていまして、
・ 推奨は Clinical trial, Sunitinib
・他の推奨レジメンとして Cabozantinib, Everolimus
が記載されています。
Everrolimus = アフィニトール (mTOR阻害)
他にも特定の状況下で役に立つレジメンも記載されているので、興味があれば原本を参照ください。
一般名を聞いて商品名が浮かばないレベルですが、少しずつおぼえておこうと思います。
病理医としては、 clear cell RCC なのか non-clear cell なのかを確実に診断することが求められるのだと感じました。
たまに、chromophobe cell RCC を Clear cell RCC と間違ってしまうケースも見かけますので、自分としても気をつけていきたいところです。
それでは。