前立腺癌に対しては放射線治療が行われることがあります。IMRTなどの外照射・小線源治療などの内照射・ほかにも粒子線治療など多岐にわたります。放射線照射後の前立腺組織はみる機会は多くありませんのでここで提示しておきます。
HEです
二相性の不明瞭な小型腺管が散在しており、よく見ると核小体をともなう核腫大を認めます。
34βE12
免疫染色ではいずれの腺管も基底細胞マーカー陽性であり、これは癌の残存ではなく治療による非腫瘍性腺管の萎縮と核所見の変化と考えられます。
次は間質の変化にも注目します
視野の下のほうにみられるのは通常みられる線維筋性間質(fibromuscular stroma)ですが、帯状に硝子化が見られます。間質の構造がべったりとしており細胞成分も疎になっていることがわかります。
写真が多くなりますが
やはり癌ではないのですが、腫瘍腺管のように不規則な構築をしめす基底細胞単一からなる腺管がみられます。赤血球の漏出像や索状の腺も見られます。ぱっと見た感じでは悪性のようにみえるのが注意点です。
最後にもう一枚とってあったので、おまけです
放射線治療後は核の腫大と核小体が目立つ基底細胞からなる一層の腺管がみられるが癌の残存と誤認しないよう注意です。