透析患者さん外耳道内から採取された検体です。真菌塊(真菌球)が見られたのですが、Aspergillus (アスペルギルス)感染だと診断可能な組織像が見られたので掲載しておきます。アスペルギルスは糸状菌の一種で、Y字型の鋭角な分岐が見られる・菌糸の幅が一定でくびれがない・隔壁を有するなどが特徴とされますが、実際にはCandida (カンジダ)との鑑別であってもなかなか断定するのは難しいことが多いと思われます。
※カンジダは酵母様真菌であり、酵母・くびれをもつ仮性菌糸などが特徴です。
以下、Grocott染色(2枚)
分生子頭(ほうきの頭のような形をしています)から多数の分生子が連続して認められます。
教科書では分生子頭 (conidial head )として掲載されている写真を見たことはありますが、実際には稀にしかみることがありません。
以下、PAS染色(2枚)
↑PAS染色だととくに分生子の膜が顆粒状に描出され、よりくっきりと認識されます。
どうでしょうか、実際に見ることは稀でしょうが、非常に特徴的なのできっと「あ、これなんとかいうやつだ(分生子頭?アスペルギルスだっけ?)」と思い出せるはずです。