こんにちは。
「医師にとっての資産の殖やし方」ということについて記載しています。
私はアラフォーの40代です。資産はほとんど持ってませんのでこれから運用して老後のために資産形成しようと考えている状態です。自ら勉強したうえで、実践していることを紹介していきます。
私の目標として、「なるべくリスクを最小限にして年5%程度の運用」ということを書きました。
そして、投資先は海外とくに米国を中心としたETFを選んでいます。もちろんiDecoやNISAの制度は利用しています。
株式投資を選んだ理由ですが、「運用成績を期待する」というだけではありません。
資産運用においては、「とにかく増やす」という側面も大事ですが、税制面を抜きに考えることはできません。
総合課税と分離課税について考える
給与所得を得て生活している医師の場合、高額所得者の扱いです。おそらく所得税率が高い階層にあることがほとんどです。
所得税だけでも33%とか43%をこえる税率が課せられる上に、一律10%の住民税がかかってきます。
ですので、医師の場合はとくに総合課税される資産運用は避けた方がいいです。分離課税される資産運用のほうが適しています。
株式投資ではだいたい20%ほどの税金が、売却益・配当益に課せられます。平均的な収入の人の場合は、所得税はそれほど多くないため、20%の税金は高いと感じます。
でも医師にとって20%の税金は安いと感じるはずです。
総合課税というのは、給与所得やその他の所得を合算して総所得を計算して課税所得を計算し、税率を算出するという制度です。分離課税は他の所得と合計せずに単独で課税される制度であり、総所得や課税所得とは別に計算される、つまり所得を増加させずに済むというものです。
・ 総合課税 = 所得税も住民税も増えてしまう
・ 分離課税 = 所得税や住民税は増えない(一律)
総合課税の例
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(1) 利子所得(源泉分離課税とされるもの及び平成28年1月1日以後に支払を受けるべき特定公社債等の利子等を除く。)
(2) 配当所得(源泉分離課税とされるもの、確定申告をしないことを選択したもの及び、平成21年1月1日以後に支払を受けるべき上場株式等の配当について、申告分離課税を選択したものを除く。)
(3) 不動産所得
(4) 事業所得(株式等の譲渡による事業所得を除く。)
(5) 給与所得
(6) 譲渡所得(土地・建物等及び株式等の譲渡による譲渡所得を除く。)
(7) 一時所得(源泉分離課税とされるものを除く。)
(8) 雑所得(株式等の譲渡による雑所得、源泉分離課税とされるものを除く。)
(注) 上記(4)、(6)及び(8)に係る所得の計算において、一定の先物取引による事業所得、譲渡所得及び雑所得については、他の所得と区分して申告分離課税の方法により所得税が課されます。
「参照: 国税庁ホームページ No.2220 総合課税制度|所得税|国税庁 」
例えば、資産運用として人気のある不動産所得は総合課税になります。事業所得も総合課税ですね。
利子・配当も総合課税に入るんですが、実際は証券会社の口座を「特定口座(源泉徴収あり)」にしておくことで、証券会社が勝手に税金の処理をしてくれる分離課税の扱いになります。
分離課税の例
分離課税は申告分離課税と源泉分離課税に分かれます。
申告分離課税
申告分離課税のほうはその名のとおり計算して確定申告する必要があります。株式の場合は、「特定口座の源泉徴収あり」を使用していれば申告してもしなくても大丈夫です。
申告分離課税制度となっている例としては、山林所得、土地建物等の譲渡による譲渡所得、株式等の譲渡所得等、平成28年1月1日以後に支払を受けるべき特定公社債等の利子等に係る利子所得及び一定の先物取引による雑所得等があります。
また、平成21年1月1日以後に支払を受けるべき上場株式等の配当所得(平成28年1月1日以後は特定上場株式等の配当等に係る配当所得)については、申告分離課税を選択することができます。
源泉分離課税制度
源泉分離課税制度とは、他の所得と全く分離して、所得を支払う者がその所得の支払の際に一定の税率で所得税を源泉徴収し、それだけで所得税の納税が完結するというものです。
銀行の利子などがこれにあたります。
なぜ株式にするのか
ざっとみてみましたが、総合課税と分離課税の制度だけでも細かくてわかりにくいです。私も自分に関係ないところは理解していません。
医師にとって、資産運用に株式を選ぶメリットは「分離課税」であるということがかなり大きいです。
不動産投資も法人をつくるなどすればよいのでしょうが、 あまりのややこしさに私は今の自分には無理だと判断しています。
ゼロから副業で不動産投資をはじめるのは本業が忙しい医師には向いていないですし、税制面からも課税所得を増やすのは好ましくないと考えます。
将来的に株式資産がかなり大きくなったとしても、配当金に対する税率は分離課税であり一定なので給与所得に対する超過累進課税のような額が多くなればなるほど悲惨というようなことがありません。
それに、引退して給与所得がゼロになったとしても不動産などの所得があれば確定申告しなければなりませんが、配当だけであればすでに源泉徴収されているので申告しなくてもいいはずです。
・ 株式投資 = 簡単・税制面でお得
・ 不動産投資 = 面倒・税制面で不利
(あくまで私にとっての主観的な意見ですw)
株式の中でもオプション・FXは別
すこし脱線しますが、資産運用をはじめるにあたりオプション取引についても興味があったので ↓ の本で勉強したことがあります。
間違いなく医師の中でも最高峰に賢い人が書いてある。ということで買って通読させてもらいました。実際にこれを読んでオプション取引をしようと意気込んでいた時期があります。
この本は面白いですし、知的好奇心をそそるように書かれている上に多くの文献を参照しながら書かれていることがわかります。エビデンスを重視しているところが正直「すごいな」との一言です。
しかしながら、「私にはやっぱり難しい」と思いました。オプション取引をやらなかった理由の一つです。
それに加えて、オプション取引は米国などの海外市場での利益に対しては総合課税になります。他にも先物取引やFXについても海外市場における取引の利益に対しては総合課税になります。
国内取引では株式と同じように分離課税になりますが、海外取引においては気を付ける必要があります。
海外株式投資はどうか
私はほとんど国内株式に投資をしていません。ほぼすべて米国を中心とする海外株式です。
これには税制面でデメリットもあります。
分離課税であることは間違いない(←ここは重要)のですが、米国と日本で二重に課税されてしまうのです。
例えば、「バンガード S&P500 ETF」という米国ETFです。先日配当金の支払い日があったので実例を示しますが、外国源泉徴収税額として10%、その残額からさらに国内源泉徴収税額として20%が引かれます。
こちらは年4回配当金(分配金)が出るETFです。直近では$345.03の配当があり、その10%の $34.60 が外国源泉徴収になります。この残りの分が国内課税所得額となり、所得税として $47.50 (約15%) が引かれ、地方税として $15.50 (約5%) が差し引かれることになります。
円だと・・・38042円の配当金が入り、3803円の外国源泉徴収と6954円の国内源泉徴収が差引かれる。つまり、(3803+6954) ÷ 38042 = 28.2766% の税が引かれてます。
38042円もらっても、手取り分は27285円になってしまいます。
上記の例は特定口座の分です。
次に示すものはNISA口座の分です。
NISA口座は非課税の口座なのですが、あくまで日本国内での話。
同じようにみていくと、配当金が5470円で546円の外国源泉徴収が差引かれるため、残りは4924円になります。国内課税がないので、10%引かれるだけで済みます。
これをみてみると海外よりも国内株式に投資すればいいと思われるかもしれませんが、物事はひとつの側面だけでは判断できません。私が何故「バンガード S&P500 ETF」に集中して投資しているのかはまた別の機会に記事にしようと思います。
それでは。